小学校に洋式トイレプレゼント!
小林製薬(株)×NPO法人日本トイレ研究所小学校に洋式トイレプレゼント!とは
「小学校に洋式トイレプレゼント!」は、公立小学校の和式トイレを洋式トイレに改修するプロジェクト。トイレ環境を快適にする“あったらいいな”製品を提供してきた小林製薬グループによる、2010年に始まった社会貢献活動です。
家庭や保育園・幼稚園、商業施設などは洋式トイレ化が進むなか、公立小学校のトイレは築数十年の古いものも多く、和式トイレが中心です。そして今、和式トイレに慣れていない子どもが増えています。
「小学校に洋式トイレプレゼント!」では、和式トイレの洋式化、床面を乾式化する改善に加え、排便の大切さやトイレの正しい使い方を啓発する「特別授業」を行っています。2017年は20校へ寄贈し、累計100校への寄贈を達成しました。
小学校に洋式トイレプレゼント! | 小林製薬株式会社
https://www.kobayashi.co.jp/toilet-present/index.html
トイレで大きくなった会社だから、トイレで恩返しを
—2010年からスタートし、このたび100校を達成した「小学校に洋式トイレプレゼント!」ですが、この活動が生まれたきっかけを教えてください。
小林製薬 代表取締役社長 小林章浩さん(以下 小林): 小林製薬では、年に2回芳香・消臭剤や日用雑貨品を購入し応募してくださった方を対象に消費者キャンペーンをやっているのですが、2009年に「ブルーレット」の発売40周年を記念して、売上の一部をもとに世界自然遺産にバイオトイレの寄贈と、国立公園のトイレを掃除するクリーンイベントを実施しました。世界遺産へバイオトイレを寄贈したことから派生して、「公立小学校にトイレをプレゼントできないか?」という話があがってきたのがきっかけです。
日本トイレ研究所 代表理事 加藤篤(以下 加藤): 公立の小学校に工事が伴う寄付をするのは貴重な取り組みだと思います。小学校のトイレ改善は子どもの健康をサポートするうえでも重要なことと考えていますので、この活動を始めることが決まったとき、とても心強く思いました。
小林: 「ブルーレット」の発売40周年の時に、特別なテレビ広告を作りました。通常のテレビ広告は製品の価値や、製品の使い方といったシーンを入れるのですけど、その時は「ブルーレット」発売40周年に意味のある広告を作ろうということで、「トイレをいつもきれいにしてくれているお母さんたち、ありがとう」というメッセージを込めた広告にしました。
加藤: 確かにそうですよね。メーカーは商品を作りますけど、それを選ぶ、買う、使うのは、お母さんやお父さんなどトイレを大切に思う大人たち。つまり、お客さんへの感謝なんですね。そこからトイレ支援、子どもたちの健康サポートへとどんどん繋がっていくんですね。
小林: ですがこの活動を始めた当初は、日本には2万校近くの公立小学校がありますから、会社として10校程度に洋式トイレを寄贈したとしても「まだまだ全然足りない」という気持ちがありました。
加藤: その気持ちに何か変化はありましたか?
小林: 実際に贈呈式に行くと、やっぱりいいなあと思いました。子どもたちが初めて新しいトイレを見る。その時の笑顔たるや! 本当に心から湧き出た喜びの笑顔で、「この活動をやって良かった!」と思いました。
加藤: 本当にそうですよね! わたしも小林製薬の会社の方々が感激されている姿を何度も現場で見ました(笑)。さて、春田さんは記念すべき100校目に、子ども達と一緒にうんちっち体操をする「ベンキィー博士」として現場に行った感想はいかがですか?
小林製薬 春田さん(以下 春田): すごく緊張していましたが、実際に子どもたちをみると、自分自身もすごく楽しかったです。終わってからも「ありがとう!」って子どもたちが集まってくれて、すごい経験をさせてもらったなと思います。
加藤: 毎回、どの学校の子どもも先生も、本当に喜んでくれるのが印象的です。どこも本当に困っていたんだと思います。
小林: ニオイもそうだし、暗くて、汚れている場所というイメージが強いですよね。
加藤: 現場で子どもたちの笑顔を実際に見て、小林さんのなかでも気持ちに変化がありましたか?
小林: そうですね。トイレをキレイにして子ども達に喜んでもらえる。この活動の意義や効果をできるだけ多くの社員に現場で経験してもらいたいと思い、これまで多数の社員に参加してもらっています。
加藤: このような活動って、専属のスタッフで運営する場合が多いと思うんです。でも小林製薬さんがすごいのは、役員の方を含め、各事業所の社員の方々が手分けしていることだと思います。
—社内からの声で、思い出に残っている話はありますか?
小林: 役員が贈呈式に参加して「良かった、良かった」と言いながら涙を流していたと聞きました!
加藤: 2010年に洋式トイレをプレゼントした岐阜県高山市の小学校では、いまでも学校の会報でこのことを書かれているんですよ! 当時と今では、先生も生徒も変わっているのに。
小林: 大変うれしい限りです。トイレをキレイに大事に使う、トイレに感謝する。そういう思いを広げて欲しいですね。
加藤: ある小学校の校長先生から、こんな話を聞いたことがあります。その小学校には給食を食べない子がいたんです。一口も食べない。なぜかというと、食べたらうんちをしたくなるから。人間にとって当たり前なんですけど、その子はうまく和式トイレが使えない子だったので、学校に行くためには食べないという選択をしたんです。でも、この小学校に洋式トイレをプレゼントしたら、その子は給食を食べられるようになったんですよ。
小林: トイレを寄贈しただけではない効果を感じていただけたのですね。授業を受けた子どもたちのその後の変化も、見てみたいですね。
加藤: 最初に授業を受けた子たちは、いまや成人くらいですもんね…。継続することの重みを感じますね。あと、現場に行くといつもびっくりするのですが、小林製薬のみなさん、うんちっち体操の歌詞と踊り完璧に覚えていますよね(笑)。春田さんはどうやって覚えたんですか?
春田: まずは動画を送ってもらって、自宅でひたすら踊っていたんですけど、前日のリハーサルで上手く踊れなくて…その日の夜に、ホテルの部屋で先輩方と一緒になって必死に特訓しました(笑)。
トイレをキレイにすることは、家を守ること
—子どもたちに伝えたかったことってなんですか?
小林: トイレをキレイに使う気持ちを、一人でも多くの子どもたちに持って欲しいと思います。
加藤: 春田さんは、子どもたちの言葉で印象的なものはありますか?
春田: 終わってからも、「ベンキィー博士!」って呼んでくれて、しかも「ベンキィー博士の帽子をかぶりたい~!」って大人気でしたね。トイレを寄贈することはもちろん大切だと思うんですけど、ただ寄贈するだけではなくて、トイレの大切さや使い方を教える授業もすごく大事だなと思います。
加藤: この活動の一環として、トイレを寄贈する贈呈式を小学校でやっていると思うのですが、子どもたちだけでなく、先生、保護者、教育委員会の方々にもこの活動の意味を届ける場として、とても大切だと思います。贈呈式がきっかけとなり、参加された方の口コミなどで、他の小学校にも確実に波及していっていると感じています。
—「トイレをキレイにする人への感謝を」という想いがとても印象的でした。トイレをキレイにする人たちへのメッセージをお願いします。
小林: トイレはいまでこそすごくキレイになりましたけど、やっぱり家の中では汚れやすい場所というのも事実です。そこをキレイに掃除するということは、家を守っているという意味合いがあると思うんです。でも、そのトイレの掃除はとても大変で。そこをお手伝いできるのが小林製薬の製品ですので、もっともっといい製品をつくっていきたいと考えています。
—小学校ごとにいろいろな思い出がありつつも、このたび100校という節目を迎えた「小学校に洋式トイレプレゼント!」。最後に、この活動にかける想いをお聞きかせください。
小林: この活動を始めた頃は応募してくれる学校の数も少なく、こちらから声をかけても受け入れてくれないこともありました。ですが、今では選考しなければならないくらい多くの学校から応募がくるようになりました。また、我々に求められるパワーも大きくなっているように感じており、活動を続けてきたことが一つの動きとしてつながってきたように感じています。これからは、全国どこの小学校でも知っているよ!という取り組みにしていきたいですね。