生活時間・習慣と便秘って関係あるの?
小児肝臓消化器科副部長
生活時間・習慣と便秘の関係
ご飯を食べて30分から1時間くらい経つと、お腹がぐるぐる動き出して排便しやすくなりますが、起きるのが遅い子はその時間に学校に行かなくてはいけないので、排便する機会を逃しがちです。当院の栄養課と小児肝臓消化器科が鶴見区内の幼稚園・小学校で実施した調査によれば、遅寝遅起きの子は便秘の傾向があります。だから「食べ終わってから学校に行くまでの間に、1時間は時間を作りましょう」と僕は話しています。
また、その調査では、朝ごはんでしっかりとお米を食べている人のほうが便秘になりにくいという結果でした。食物繊維の量だけを考えるのであれば、お米以外のほうが効果的だと思うのですが、ではなぜお米がよいのかというと、ある程度カサがあるからです。食べると胃が膨らみますよね。胃結腸反射で結腸が動くことを考えると、「ずっしりとカサがあるものを食べて、胃を膨らませてあげたほうが便が出るのではないか」というのが、データを解析した栄養課職員の意見です。そのため、朝は時間がないから菓子パン、というのはあまりよくないのです。
ふたつの「かくれ便秘」
便は毎日出ているけど、実は便秘の子がいます。夜尿、腹痛、パンツが便で汚れる、胃酸が上がってきてすっぱいにおいがするなどは便秘がもとで起こっていることがあります。また、小学校に上がると、ほとんどの親は子供の便を観察しなくなります。そのため、便が硬いとか、排便に苦労しているとか、いつ排便したかなどを把握していない状態になってきます。もし、子供が便秘になると、どんどん悪くなってしまいます。そういう子たちにちゃんと治療をしていかないと、大人の頑固な便秘に持ち越してしまうので、早め早めに治療することが必要です。
外来でおうちの方に「この症状はたぶん便秘ですよ」と言っても、「うちの子は毎日うんちが出るから便秘じゃありません」と理解してもらえないことがあります。でも浣腸や下剤で、その症状がすっと消えると、「やっぱりそうだったんですね」となることはよくあります。
気持ち悪い、口が臭いなどの症状は意外と便秘に多いですね。食べたものが下に下がっていかないので、胃液が逆流して上がってくるんです。便秘治療の考え方はシンプルなので、おうちの方は悩みこまずに相談していただきたいです。