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便秘の治療は、どんなことを心がけるといいの?

インタビュー
佐々木 美香先生
もりおかこども病院・
副病院長

子どもの発達を加味することが大切

治療の際にいつも心がけているのは、おうちの方に「年齢的な発達を考えて治療しましょう」と話すことですね。2~3歳の子どもにいろいろ言っても理解できず、子どもたちの思考は「嫌だから、しない」です。「食物繊維のあるものを食べなさい」と言っても嫌だから食べないし、「お水を飲みなさい」と言っても飲みたくないから飲みません。おうちの方も、発達を加味せず説得しようとすると疲弊してしまいます。「子どもたちは、これが主食で、これがおかずで、これがおやつ、ということが分からないから、食べ物でうんちを出すのはあきらめちゃいましょう」という話をします。それよりもおいしく食べる、楽しく食べる、それから排便したあとさっぱりする感覚を覚えさせることが大切ですね。

また、子どもには「食べたら出す」という概念はありません。食べたら出さなきゃいけないことは、大人は分かるけれども、子どもたちは全く分からない。2~3歳の子どもたちにそれを理解しろと言ってもできません。だったらおいしく食べて、薬を飲んで楽に排便して、みんながストレスなく生活できればいいのかなと思っています。

トイレトレーニングを始める最初の時期は、「トイレに座らせることを目標に考えていきましょう」と言います。動物は教えずに、見て真似して覚えていきますよね。だから、おうちの方にも「教えようとせず、自分がうんちするところを見せて出た後にすっきりしたあとにっこりする、うんちがマイナスなイメージにならないようにしましょうね」と話します。そうすると、ちゃんとオムツが外れていくのです。

慢性の便秘治療は最初が肝心

初めに初期治療の大切さを詳しく説明をします。例えば、「治療の最初は便が少しやわらかめになるように薬を調節するので、1日に2回排便があっても、それは下痢ではなく薬の効果ですので徐々に薬の量を減らしていきます。毎日排便があると下剤は徐々に減り、癖になることはありません。時々血液検査で副作用のチェックをしますね」とガイドラインに沿ったお話をすると、おうちの方も安心して薬を使ってくれます。

治療の根本は、おうちの方が排便について理解することと、子どもたちが自主的にトイレに行って排便をする環境を作ってあげることだと思います。便は必ずしも毎日出なければいけないわけではありません。うまくいきめない年齢では毎日出ないと便が硬くなってしまいますが、小学生になってからは、もう少しラフに考えて大丈夫です。だから私も便秘の外来は、たくさん笑いながら明るくやっています。