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子どもたちの便秘の仕組み

インタビュー
中野 美和子先生
さいたま市立病院・
小児外科医

便秘かなと思ったらどうしたらいいの?

子どもだって便秘で困ることはあります。
便秘とは、便が大腸に溜まりすぎて苦しくなっていること。さらに困るのは、この状態が続いている慢性便秘症になることです。
5日以上排便がない、週に3回より少ない、というのが便秘です。苦しいとは、排便時に痛い、出血する、便が溜まりおなかが張る、食欲がないなどです。そして、子どもに特有 なのが、排便の時にいきんでもなかなか出ない、排便したそうなのにがまんして出さない、という症状です。小さな便が何回も出る、べたっとした便で下着がいつも汚れるということもあり、これは便が溜まり過ぎたための、便の漏れです。こういう困った状態が1~2 か月以上続けば、慢性便秘症です。
子どもの慢性便秘症では肛門のすぐ上の直腸に便が溜まっています。そのため直腸が広がり、持続すると直腸の感受性が鈍くなります。普通量の便では便意が出なくなり、便意 が出るころには、排便するのが難しい大きな硬い便になります。がんばって排便し、肛門 が切れ、すごく痛くて、便を出すのがイヤ、怖くなります。数日間便を溜め、便意があってもガマンするようになり、さらに溜まりが強くなり、さらに出にくい便になり、という便秘の「悪循環」に陥ります。少しの便の出しにくさが、悪循環で悪化していくのです。
便が溜まりだすのは、便に形ができてくるころ、離乳食が進んだ時期、1 歳半ごろの自分の意思がはっきりし、偏食が出てきた時期です。

まず、毎日良い便が出ているかどうか確認しましょう。気になるなら、排便日誌をつけてみるとわかりやすいと思います。
もし便秘症なら、早めに対処したほうがよいのです。
生活を整えましょう。早寝早起き、昼に身体を使ってたくさん遊び、夜ぐっすり眠る。 食事は三食バランスよく、おやつが多過ぎないように。食事内容と排便の関係をチェックしてみましょう。
それでも便秘が続くなら、早めに医師に相談し、飲み薬を始めます。診察の結果、詳しい検査が必要なこともあります。悪循環に陥っている場合は、浣腸なども必要です。
慢性便秘症では、治るのに時間がかかることがあります。薬を調節しながら、楽にすっきり排便できるように続けることが大事です。うまく使えば、薬などは何年使ってもよいのです。
また、慢性便秘症になると、「トイレ嫌い」が続くことがありますが、トイレ訓練を強制 するのは逆効果です。楽に排便できるようになれば、無理なくトイレに行けるようになります。