高脂肪食・肉食を好む人々からのお便り
大腸ガンに関与する腸内細菌を見いだすために、高脂肪食を好んで食べるカナダ人のウンチを調べると、善玉菌であるビフィズス菌は少なく、悪玉菌のクロストリジウムが高頻度に検出されました。また自らの体を犠牲に肉食を食べ続ける実験を行うと、腸内環境が著しく変化しました。ウンチが臭くて黒褐色になり、腸内細菌もビフィズス菌が減少し、大腸菌やクロストリジウムなどが増加したのです。臭いウンチが腸内に何日もあれば、腸内細菌が体に悪い物質を作ることを教えてもらいました。
日本の長寿村からのお便り
山梨県上野原市にある「
パプアニューギニア高地人からのお便り
パプアニューギニアの2,500メートルの高地に人々が住んでいることが分かったのは約70年前でした。いも類が主食で低タンパク栄養状態であるにも関わらず、体格は筋骨隆々で元気いっぱいです。その理由は、腸内細菌にあります。
パプアニューギニア人のウンチを嫌気性の輸送培地に入れて、約3日かけて運んでもらいました。培養した培地を大きな嫌気培養装置から取り出すと、なんとウシの第一胃液と同じにおいがしたのです。ウシは牧草しか食べないのに、なぜあんなに大きくなるのか、不思議ですよね。ウシの第一胃には、数多くの細菌(ルーメン菌)が住み着いています。この細菌が、壊されて菌体アミノ酸として吸収され、ウシの大きな体を作っているのです。パプアニューギニア人も同じなのです。りっぱな体を作るために、体に足りないアミノ酸を、腸内細菌が腸内の窒素を使って合成していたのです。
将来、地球の人口が増加し、タンパク資源が枯渇する前に、人間の知恵は無論のこと、腸内細菌の力を借りなければ生存が保障されなくなるのです。この研究は一機関がやるべき課題ではなく、国家プロジェクトとしていち早く取り掛からなければならない課題であると確信しています。
辨野義己先生プロフィール
独立行政法人 理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室長。 農学博士。酪農学園大学獣医学科卒、東京農工大学大学院を経て2004年から現職。35年以上にわたって腸内細菌学・微生物分類学の研究に取り組んでいる。
おもな著書として、「ウンコミュニケーションBOOK」(ぱる出版)、「ヨーグルト生活で「腸キレイ」」(毎日新聞社) 「ビフィズス菌パワーで改善する花粉症」(講談社)、「べんのお便り」(幻冬舎)、「病気にならない生き方で、なる病気」(ブックマン社)などがある。

