EAファーマ株式会社とNPO法人日本トイレ研究所は、子どもの便秘改善をサポートするため、〝こころとうんちをサポートするプロジェクト〟に取り組んでいます。2019年度は保育士等を対象に子どもの便秘に関する研修会を2回開催しましたが、定員を大きく超える応募をいただきました。
2020年は10月と11月にオンラインで子どもの便秘に関する研修会を開催し、500名以上の方にご参加いただきました。また、排便の大切さを子どもに伝える教材を作成し、なるべく多くの方にご活用いただけるよう、無償で公開しています。
子どもの便秘を見落としがちな理由とは?
子どもの便秘というとあまり深刻に捉えられていない方もいるかもしれませんが、直腸に便が溜まる直腸性便秘の場合、溜まることが癖になり、慢性化することが危惧されます。
子どもの便秘を深刻化させる課題は2つあります。
1つ目は「便秘に関する正しい情報不足」です。排便に関する情報は食事や運動に比べて少なく、正しい情報を得にくい状況にあります。この背景には、子どもの便秘に詳しい専門家が少ないことや日常的にあまり話題にしないことが考えられます。そのため、子どもが便秘であることを認識できていない保護者が少なくないのが現状です。
日本トイレ研究所が2016年に実施した調査(小学生の排便と生活習慣に関する意識調査)では、便秘状態と思われる小学生の保護者のうち、子どもが便秘であると認識している保護者の数は56.4%でした。ということは、4割以上の児童は便秘への対応が遅れてしまい慢性化につながる可能性があるということです。どういった状態が便秘なのか、便秘を放置するとなぜダメなのかなど、正しい情報を届けることが必要です。
2つ目は「0歳児でも便秘になる」という事実が、あまり知られていないことです。子どもの便秘を診療する際の指針である『小児慢性機能性便秘症 診療ガイドライン』では、小児期に便秘を発症しやすい時期・タイミングは「①乳児における母乳から人工乳への移行、あるいは離乳食の開始、②幼児におけるトイレットトレーニング、③学童における通学の開始や学校での排泄の回避の3つが知られている」と書かれています。このことからも早めの便秘ケアが必要だということがわかりますが、あまり知られていないのが実情です。
早期の治療が大事
『小児慢性機能性便秘症ガイドライン』では、慢性機能性便秘症は、最初の受診が2才より年長だと治療の経過が有意に良くなく、5才以上の小児期に来院した便秘患児の25%程度が成人の便秘へ移行すると記述されています。慢性化し、放置していると、成人しても便秘が続くことがわかります。
中野美和子先生(後述)の著書「赤ちゃんからはじまる便秘問題」によると、「便秘が2〜3か月以上つづくと、徐々に症状がひどくなっていきます。(略)便秘が慢性的になると腸自体が排便しにくい状態になる、つまり腸の便秘の「くせ」がついてしまい、自然にはなおりにくくなっていきます」と述べられています。便秘かどうかを知り、早めに対応することの重要さがわかります。
保育士が抱える現場の悩みに答える
研修会では子どもの排便を専門とする小児外科医の中野美和子氏を講師に迎え、排便のしくみと便秘についての講義と参加者の質問に答えるQ&Aコーナーを行っています。研修会参加者に、子どもの排便に関しての課題や悩みを聞いたところ、「保護者への伝え方・接し方」「おなかの痛みへの対応」「排便時の痛み・出血への対応」について、悩んでいる方がいらっしゃいました。
紙芝居と体操で、園児と一緒に学ぼう!
本プロジェクトでは、子ども向け教材として〝いーちゃんの3つのやくそく(紙芝居)〟と幼児向けに振り付けをアレンジした〝いーちゃんのうんちっち!たいそう〟を作成し、公開しています。
紙芝居〝いーちゃんの3つのやくそく〟は主⼈公のいーちゃんがウンチくんとの3つの約束を守り、いいうんちを出すために生活習慣改善に取り組みます。いいうんちを出して、スッキリしようというメッセージが込められています。
また、〝いーちゃんのうんちっち!たいそう〟は「しゃがむ」「ひねる」「ジャンプする」「転がる」など全身を使った動きを含んでいて、運動不足解消のヒントになればと考えています。
イーベンnaviで、うんちチェックをしよう
うんちweekは自分のうんちを見て、健康状態や生活習慣を振り返ろうというイベントです。EAファーマでは手軽に排便記録を行うため、LINEでのイーベンノートアカウントを立ち上げています。日々の排便状態や運動や食事などの生活習慣をLINEのトーク形式で記録できるサービスです。1アカウントで3人分まで記録できます。EAファーマが運営するイーベンnaviでは、子ども向け教材の公開はもちろん、排便に関する情報を多数掲載していますので、ぜひご活用ください。