大腸の病気と子どもの便秘(その2)

子どもの慢性便秘について

直腸というのは伸縮するので、かなりの量の便を溜ることができます。赤ちゃんの時にちょっとしたきっかけで一旦便秘になってしまうと、直腸が伸びてしまい、便が直腸に届いたことを感じにくくなり、どんどん便秘になってしまいます。子どもというのは元々身を守るために、不安が強く、とても保守的です。子どもは、うんちをすることが痛かったりすると、“うんちするのが怖い”という恐怖感を持ってしまいがちで、そうすると、ますます便秘になってしまいます。科学的根拠はまだありませんが、便秘になるような子は多少の先天的要因があるようです。普通は、成長過程で改善され、1~2才で問題なくなってしまうのですが、そのときに排便恐怖がプラスされてしまうと排便できなくなり便秘になってしまいます。困って相談しても“たかが便秘でしょ?”と無視されてしまうことが多いのが現状です。

ひどくなると・・・

便秘がひどくなると、もちろん腹痛はあるし、便塊が硬くて大きくなっているので出すのも大変で、肛門が切れることもあります。もっとひどい状態になると、詰まっている便の隙間から無意識に便が漏れるようになってしまいます。排便外来に来る年長児の多くがこのような便失禁の症状で来ます。小さい頃から下着を汚すことがあって、小学生くらいになってほんとに便失禁になってしまい、困り果てて辿りつくという方が多いです。便秘と言っても、毎日、ちょっとずつ排便がある場合もあるので、そうするとなかなか気づきません。
便失禁のメカニズムは、便が詰まることによって、一種の腸閉塞の状態になります。詰まっている硬い便の周辺は腸内細菌の状態が悪くなるため下痢になりがちです。硬くなって栓をしている便の横を下痢便が通り抜け、無意識の状態で肛門から漏れ出てきてしまうのです。そのため、本人には漏れる理由が分からないのに、漏らしたことを怒られたり、周囲に臭いと言われたりします。そのため、ストレスや怒りを溜めている子も多いです。多くの場合は、腸内洗浄や浣腸をしたりして治しますが、ひどい場合は麻酔をかけて便を出すこともあります。便が出ると、「こんなにすっきりしたことはない」という子もいますし、ほとんどの場合は、ものごとに集中できるようになります。

うんちが出たあとのすっきりが大事

排便外来にくる子どもの生い立ちを聞くと、トイレトレーニングなどの時期に何かのきっかけで便秘になったという子もいますが、乳児期から便が1日1回~2・3日に1回など、すでに便秘気味だった子が多いです。昔に比べ、便秘の赤ちゃんの比率が多くなったわけではなく、想像に過ぎませんが昔は衛生環境が悪かったためにときどき下痢風邪を引いて、リセットされていたのではないかと考えられます。下痢で子供がたくさん死ぬ時代だったことを考えると、もちろん衛生環境がよくなったのはとてもいいことですが、便秘は多くなったように見えるかもしれません。

次回の「大腸の病気と子どもの便秘(その3)」では、子どもの便秘対策についてをお届けします。

<中野先生のレポート(1) 中野先生のレポート(3)>

中野美和子先生

中野美和子先生プロフィール

さいたま市立病院 小児外科部長
先天性の排便障害疾患の治療を永年にわたり続けている。その関連で、さいたま市立病院では3年前より、排便外来を開設し、先天性の疾患、先天性疾患で手術を受けた後の長期フォローだけではなく、一般のこどもの難治性便秘、便通異常、便失禁の治療も行っている。鎖肛の会顧問。

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