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Pick UpVol.17

子どもの便秘は早めのケアが大事! 便秘のサインと治療方法

マグミット製薬株式会社

日本トイレ研究所とマグミット製薬株式会社では、便秘症の子どもを持つ保護者の方へ向けたパンフレット「こどものためのすっきりうんちBOOK」の作成などを通して、子どもの便秘啓発に取り組んでいます。
子どもの排便の専門医である虻川大樹先生(宮城県立こども病院 院長)に、保護者に知っておいてほしい便秘のサインや、治療の考え方、治療を終える目安などをお聞きしました。(聞き手:NPO法人日本トイレ研究所代表理事・加藤篤

(左から)虻川大樹先生、日本トイレ研究所・加藤篤

小学生の約4人に1人が便秘疑い

── 日本トイレ研究所で行っている「小学生・中学生の排便記録調査」では、排便の回数と便の形を1週間記録してもらう調査を行っています。2024年は小学生の約4人に1人に便秘の可能性があるという結果が出ています。この数字について、虻川先生のご意見をお聞かせください。

虻川先生: 病院で診察・治療している立場から考えて、それくらい便秘の子どもがいても不思議ではないと感じます。子どもの下痢はすぐに受診することが多いですが、便秘に対してはあまり深刻にとらえず、見過ごしてしまうことが多いと思います。

子どもは自分の便秘に気づいている?

── 子どもは自分が便秘だということを理解しているのでしょうか?

虻川先生: 子どもたちは恐らく「うんちが出なくて困っている」という感覚はなく、何かわからないけれど「痛くて怖いことが起きている」と感じていると思います。未就学の子どもであればなおさらです。
大人は「便は出さなくてはいけない」と理解できますが、子どもの場合、怖いことはなかなか受け入れられないため「怖いから出さない」となってしまいます。

親が知っておきたい便秘のサイン

── 保護者が子どもの便秘に気づくためのポイントはありますか?

虻川先生: たとえば排便時に泣く、硬い便でお尻が切れて血が出るなどはわかりやすいサインです。トイレに行くのを嫌がる、足をクロスして必死に我慢している、物陰に隠れておむつに排便するという行動も、便秘が原因で生じます。トイレトレーニング中のお子さんで、おしっこはトイレでできるのに、うんちはオムツでしかできないという場合、便秘が隠れている可能性が高いと考えられます。こうした症状が出ていたら、すぐに病院を受診してほしいです。

硬さ、大きさがポイント

──便秘が悪化する前に気づけるサインはありますか?

虻川先生: 硬いうんちが出ていたら注意が必要です。「ブリストル便形状スケール」(下図)で Type 1・2は便秘のサインです。子どもによってはType3も硬くて出しにくいという場合もあります。
うんちの大きさもポイントです。こぶしのような大きな塊のうんち、トイレが流れないような太いうんちは便秘の可能性がかなり高いです。便秘かどうかは排便の回数だけでは判断できません。毎日や、2日に1回のペースで出ていても、硬くて痛みを伴う排便が続いているなら便秘です。

出典:「こどものためのすっきりうんちBOOK」(作成:特定非営利活動法人日本トイレ研究所、監修:虻川大樹(宮城県立こども病院)、協賛:マグミット製薬株式会社)

子どもの便秘の悪循環って?

──大人にとって便秘は体質的なものという意識が強く、お医者さんに相談するものではないと考えているような気がします。子どもの便秘というのは、腸の中で何が起きているのでしょうか?

虻川先生: 子どもの便秘に多いのは、直腸(大腸のうち一番肛門に近い部分)に便が溜まる、直腸性便秘です。硬いうんちが出るときに痛い経験をすると、便意を感じても排便が怖いため我慢するようになり、直腸に便が溜まります。これを繰り返すと直腸が拡がり、感覚が鈍くなるので便意が起こりにくくなり、さらに便が溜まります。こうした悪循環が起きて症状が悪化するのが子どもの便秘の特徴です。症状が悪化していくと、便が漏れる状態になることもあります。
この悪循環を断ち切るには、まず直腸に溜まっているうんちを出すことが必要です。そのうえで、うんちが硬くならないようにして出しやすい状態を保ち、排便が怖くないよう治療していきます。

出典:「こどものためのすっきりうんちBOOK」(同上)

受診された保護者の方からは、「必死に力んでいるのにうんちが出ないんです」と言われることが多いのですが、実は子どもはうんちをしないように必死に我慢している、ということがよくあります。痛くて怖いから我慢してしまう、ということを保護者の方と共有して、そうならない状態を維持するという治療に理解をいただくことが大切です。

出典:「こどものためのすっきりうんちBOOK」(同上)

水分よりも食物繊維が大事

── 「便秘のときは水分をとればいい」というのは本当なのでしょうか?

虻川先生: 子どもの脱水には気をつける必要がありますが、必要以上に水分を摂っても、おしっこになるだけで便秘は改善しません。それよりも食物繊維を摂ることを心がけてください。野菜は火を通したほうが食べやすくなりますよ。野菜が苦手な場合は、果物からも食物繊維は摂ることもできます。
注意してほしいのはジュースです。甘いジュースを飲んでいるとおなかがいっぱいになったと感じて、食事の量が少なくなりがちです。食事をしっかりとれないと食物繊維が不足しますので、ジュースを飲む時間帯や、飲み方には気をつけましょう。

――排便日誌は治療にも効果がありますか?

虻川先生: 記録を付けることで、保護者が子どもの排便状況を把握しやすくなり、薬を飲ませる意識が高まったり、治療の効果を実感しやすくなったります。医師も状況を正しく把握することができ、治療効果を判断する材料として役立ちます。健康な子どもの場合も、便秘かなと思ったらまずは記録してもらうといいですね。

出典:こどものためのすっきりうんちBOOK(同上)

子どもの便秘治療の終わりは?

── 子どもの便秘治療がいつまで続くのか不安になることもあると思います。便秘治療はどのように終わるのでしょうか?

虻川先生: ほかの病気が隠れていない機能性の便秘であれば、幼児期に治療を終えることができると考えています。便意を感じて、痛みなく排便ができ、すっきりするという「快便感」を積み重ねていくことで治療が進んでいきます。
たとえば、5歳でオムツが外れず、常にうんちが漏れている状態で受診した子どもも、便意を感じてトイレで排便ができる状態になりました。受診したときの状態によっては年単位の治療になることもありますが、治療を終えることはできると思います。

──そろそろ大丈夫と思って、薬をやめたらうんちが出なくなったときはどうすればいいでしょう?

虻川先生: 薬をやめると出なくなるのはもう少し治療が必要な状態ですね。子どもの便秘に主に使われる薬(浸透圧性下剤など)は便に直接働きかけて軟らかくする薬なので、適切な量で使用する分には安全に使える薬だと考えています。便を溜めてしまうことの方がよくないですので、焦らずに毎日服用から1日おき、というようにゆっくり薬を減らしていきます。うんちが出なくなった時は、薬の量をもどせばよいです。多くの子どもは4歳を過ぎてオムツが外れていれば、小学校入学前に薬をやめられることが少なくありません。

ただし、小学校入学などの環境の変化によって、緊張したり、すぐにトイレに行けずに我慢したりすることで便秘が悪化することもあります。状況を医師と相談しながら、薬を減らしていきましょう。これまで診てきた子どもたちも、それぞれのペースで治療を卒業していきました。

うんちで困っていたら、ためらわずに受診を

──保護者へのメッセージをお願いします。

虻川先生: お子さんがうんちでつらい思いをしていたら、それは「ただの体質」ではなく治療の対象となる「便秘症」です。
特に2〜3歳での対応は重要です。この時期にしっかり治療せず放っておくと、便秘が悪化してオムツが外れない、うんちが漏れるなど本人がつらい思いをすることになりますし、治療にも時間がかかります。個人差はありますが、2〜3歳からきちんと治療をすれば、小学校入学までにはちゃんとオムツがとれ、治療も終えられる場合が多いようです。
小学生であっても、適切に治療すればよくなります。うんちについて気になる症状や困っていることがあるときは、ためらわず受診してほしいと思います。

虻川 大樹(あぶかわ・だいき)先生 
宮城県立こども病院 院長
一般社団法人日本小児栄養消化器肝臓学会理事長
プロフィール
1984年 東北大学医学部卒業
     岩手県立中央病院小児科研修医
1986年 東北大学医学部小児科
1998年 岩手県立中央病院小児科医長
2003年 宮城県立こども病院開院
     総合診療科・消化器科でおもに小児消化器診療に従事
2025年より現職
専門:小児科学、小児消化器・肝臓病学

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