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自治体の対策例

被災者へ清潔なトイレ環境を提供するために

富士市【静岡県】

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●富士市の被害想定と対策方針

駿河湾に面した富士市では、東海地震説(1976年)の公表後、自主防災組織の結成など地域防災力の向上を推進してきました。しかし、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、従来の想定を大きく上回る規模の地震であったことから、国(内閣府)は東海地震についてもより大きな規模の地震(南海トラフ巨大地震)を想定するという社会的な流れが発生しました。これに伴い静岡県では東海地震による被害の想定(第3次地震被害想定)を見直し、平成25年に南海トラフ巨大地震の被害想定(第4次地震被害想定)を行いました。

南海トラフ巨大地震の被害想定では、全壊家屋数6,180棟、半壊家屋数12,390棟、想定される避難者数は最大で避難所26,666人、避難所以外26,502人と想定されました。
本市では、この想定を受け地域防災計画の津波対策編の策定、津波避難行動計画のワークショップの開催など、ソフト対策の充実を図っています。また、避難所開設に必要な物資の計画的な備蓄に併せ、避難所運営マニュアルの雛形を活用し、各避難所単位で避難所運営マニュアルの作成を住民と共に推進しています。

富士市避難所運営マニュアル掲載ページ
http://www.city.fuji.shizuoka.jp/safety/c0101/rn2ola000000kp32.html

●非常用トイレ設置訓練事例

本市では、地域が主体となり、避難所運営マニュアルを作成、避難所運営訓練を実施している事例が複数あります。その中でも富士駅南地区では、避難所となる市立富士第二小学校で、平成19年から避難所運営訓練を地域主体で開催しており、仮設トイレの組み立てや簡易トイレの使い方などを参加者に啓発するなど、災害用トイレの設置から衛生管理まで実施しています。

  • ①富士第二小学校避難所運営訓練で仮設トイレを組み立てる様子①富士第二小学校避難所運営訓練で仮設トイレを組み立てる様子
  • ②富士第二小学校避難所運営訓練でトイレ対策についての説明をする様子②富士第二小学校避難所運営訓練でトイレ対策についての説明をする様子
●災害用トイレの備蓄状況

本市では、指定避難所58箇所(内訳一般避難所53、福祉避難所5)に備蓄倉庫を設置し、食料、非常用トイレ、毛布、ブルーシート、ダンボール間仕切り、発電機、バルーン投光機、救急セット等を配備しています。
 災害用トイレの備蓄は、下記のとおりです。平成28年4月に内閣府が示した「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」で示された、避難者数50人当たり1基の基準を上回る数を確保していますが、仮設トイレは和式便器が多いため、避難所の開設期間が長期化する場合においては、課題が残っています。
 また、災害用トイレの確保を地域でも進めていただくことを目的に、平成25年度より自主防災組織の器材購入費補助事業の対象品目に、簡易トイレ、携帯トイレを追加しました。

  • 図3図3
●今後の取り組み

災害時のトイレは、避難者に対して十分な数量を確保し、設置すれば終わりというものではありません。例えば、携帯トイレであれば、使用済みトイレの保管方法やゴミ処理の問題、汲み取り式の仮設トイレであれば、し尿処理業者による汲み取りの手配、衛生的な管理や要配慮者にも使いやすいトイレ環境の確保など、多様な人・物が関わり始めて環境が整います。特に、避難所開設期間が長期化する場合の「質の向上」が課題であると認識しています。
 このため、被災者に清潔なトイレ環境を提供すること」を目的とした、各部が連携できる体制を平時から確立し、災害時のトイレ確保・管理計画を取りまとめていきたいと考えています。
 これら行政内の取り組みを推進すると同時に、災害時の水洗トイレの使用ルールや各家庭での災害用トイレの備蓄などについて、関係課で協力し啓発していきます。

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