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排便の悩み Q&A

便秘について

  • Q1
    便秘がひどくて、排便にとても苦しみます・・・
    2歳半頃から便秘で、便を出すのがつらいようです。今は1週間に1度、大きな便を1回、相当苦しんで排便するか、浣腸するかの状態です。
    毎日、便意はあるようですが、のけぞって肛門を閉めるような姿勢になってしまい、排便しようとはしません。便がたまってくると、食欲もなく、機嫌も悪く困ってしまいます。
    A1
    典型的な小児の「慢性特発性便秘症」です。肛門のすぐ上の直腸に便が溜まり、楽に出せなくなっている状態です。いつも直腸に便が溜まっているので、直腸は太く広がり伸びてしまいます。たまった便は腸の粘膜に水分を吸収されて固くなり、動きにくくなります。便意があっても、出すときすごく苦しいので、出すのが怖くて、我慢し、更に便を溜めてしまいます。便秘に詳しい小児外科を受診し、治療を指導してもらうと良いでしょう。(中野美和子先生)
  • Q2
    7日に1回しか排便しません・・・
    どのような状態になったら便秘ですか。4日から7日に1回しか排便しません。
    食欲は普通です。特に苦しがる症状はないです。治療って必要なのでしょうか。
    A2
    幼児期以降では、回数が週に3回より少ないか、便を出すのが大変であれば、それは便秘です。1歳までの赤ちゃんのときは便秘の判断が難しい。1週間に1回だけれども元気で、出す時に苦痛がなさそうな場合に、「便秘ではない」と考えてよいのかどうかは、小児科医の中でも意見の統一が出来ない部分です。私個人の意見だと、赤ちゃんとはいえ4,5日出ないと飲みがわるくなるなど調子が悪くなる可能性があるため、よほど調子がいいと保証されない限り、4,5日目には浣腸をしたり、糖水を試したり、肛門刺激をすることを勧めています。(友政剛先生)
  • Q3
    朝うんちじゃなくても大丈夫?
    朝うんちにとらわれて気にする方がいます。安定していれば2、3日に1回でもよいのではと声かけしているのですが、これはいいのでしょうか。
    昼前後に排便する年長児に対して、朝、排便する習慣をつける方法を教えて下さい。安定したリズムをつけるには、ふだんの生活の中で何に気をつければよいでしょうか。
    A3
    安定していて、いいうんちが苦労なく出ているのであれば2、3日に1回でもよいです。多くの日本人は、朝うんちが出るリズムがよいのですが、個人差があるので、必ずしも朝でなければいけないという理由はありません。
    問題なのは、朝忙し過ぎてトイレに行けず、我慢したまま学校に行くことです。これは、たまり癖がついてしまうのでよくないです。
    いずれにしても、必ずしも朝でなくていいという気持ちで幅広く考えていただきたいと思います。(友政剛先生)
  • Q4
    便秘に対する心構えを教えて下さい。
    小児科で便をやわらかくする薬をもらっています。出すとき痛いので、ぎりぎりまで我慢しています。
    子どもにどのように声かけしてあげればいいのでしょうか。そのときの親の心の持ち方、便秘に対する心構えを教えてください。
    A4
    便をやわらかくする薬をもらっているのに、出すとき痛いのは、既に薬の量が足りていない可能性があります。もちろん、食事などやるべきことをやる必要はありますが、あとは薬の量を正しく調節することが重要という感覚を持つことが大切です。
    やはり声かけはなかなか難しい。余り無理やり連れて行っても、子どもはトイレに対する恐怖感が強くなってしまいますので、楽しく行ける雰囲気をつくることと、出たときに大いに喜んであげるということがポイントになるでしょう。
    また、トイレでの座り方も関係します。肛門を絞める癖のある子はトイレで排便しづらいので、足台を置いたりして、肛門が開きやすくする環境を整えるなど、まずは出すことを重視することが大切です。(友政剛先生)
  • Q5
    お尻がすごくただれています・・・
    1歳児の男児でお尻がすごくただれて、汁の漏れているような状態です。
    皮膚を先に治療するのがいいのか、便秘を先に治療すればいいのかどちらでしょう。
    A5
    同時に治療することが必要です。悪いうんちが漏れているのですごく刺激が強く、だらだら出るので皮膚が荒れてしまいます。
    浣腸で毎日溜まっている便を、出すと、一般的に3日ぐらいでよくなります。しかし、その3日間、おしりが痛いのはかわいそうなので、お尻は皮膚ケアをします。うんちがお尻の皮膚に接触しないように、亜鉛華軟膏のようなものを塗って皮膚を緩い便からブロックするなどいろいろな方法があります。それは皮膚ケアの専門家が指導しますが、大体は排便を扱っている医者もできます。ちゃんとした排便外来のあるところなら指導できる看護師もいますので同時に指導してもらえると思います。(中野美和子先生)

    A. 同時に治療するのですが、便秘の治療はとにかく急ぎます。この場合、重症な可能性があり、放っておくと、どんどん悪くなる可能性があります。便秘のほうがうまくコントロールできれば、皮膚のほうは非常にコントロールがしやすくなります。お尻に関した場合は便秘の治療を急ぐべきです。(友政剛先生)
  • Q6
    “の”の字マッサージについて
    便秘の子どものお腹を、“の”の字マッサージするように勧めても大丈夫でしょうか。
    A6
    便が詰まっているときは、お腹が張りぎみなのでお勧めできません。マッサージ自体が便秘に効くという医学的根拠はないと思います。しかし、お母さんが赤ちゃんのお腹に手を当て、優しくなでること自体はすごくよいことで、副交感神経が生き生きとして、うんちが出やすくなると考えられます。手を当ててあげるだけでも良いのです。(中野美和子先生)
  • Q7
    すごく力んでしまいます・・・
    固くコロコロか、とても太い便を真っ赤な顔で力んで排便しています。
    本人にあまり力を入れ過ぎずに排便をして欲しいのですが、2歳半では言ってもわかりません。
    何歳くらいになると排便の時の力加減がわかるようになるのでしょうか? 排便時に子供に意識させる事って何かありますでしょうか?
    A7
    あまり りきまずに排便するのが、本来の「快便」です。しかし、お子様の場合は、肛門のすぐ上の直腸に便を溜めるくせがついてしまっています。そして、おそらく直腸が拡張し、鈍くなって動きにくくなっていますから、今は、できないのです。言うことをきかないのではありません。飲み薬(緩下剤)を毎日飲んで、毎日楽に排便するようにするのがよいのですが、飲み薬でも排便が苦しい場合は、毎日浣腸をして、直腸を良い状態に保つと、よい直腸に戻っていき、楽に排便できるようになります。無理に排便させるより、浣腸で、楽にすっきり出す訓練を続けるのがよいのです。(中野美和子先生)

薬・浣腸について

  • Q8
    浣腸をずっと使っても大丈夫?
    赤ちゃんの時から便秘気味で、1週間も2週間もでないことがありました。
    浣腸して出すことがほとんどですが、浣腸を長期間続けても体に影響はないのでしょうか?
    A8
    浣腸は単に肛門から直腸を刺激しているだけですから、身体には何の害もありません。残便がなくなり直腸の状態が良くなれば、大脳が直腸の排便を鋭敏に感じとることができるようになり、自分で便意を感じて排便するようになります。なお、浣腸を長期に連用するときは医師の指導を受けて下さい。(中野美和子先生)
  • Q9
    浣腸は何度してもいいの?
    浣腸は何度してもいいのでしょうか。赤ちゃんに浣腸をしてもいいのでしょうか。
    A9
    A.浣腸は何度しても良く、赤ちゃんにしてもかまいません。大腸全体の便を出すのではなく、直腸にあるのだけを出すのが浣腸です。必要なら浣腸を1日3回する子もいます。(中野美和子先生)

    A.浣腸をして癖になることはありません。
    ただ、浣腸をしたときはかなりお尻が痛い可能性があるというのを1つ頭に置いておいていただきたいです。やわらかい便であれば浣腸をしても痛くなく、トラウマにならないし、便秘の悪循環に入ることはありません。医者の指導のもとで、便をやわらかくしておいて、なるべく早目に出すというのが浣腸に関してはコツです。それを怠って、便が硬くなってから浣腸をして出すのを繰り返すと、浣腸が癖になるのではなく、便秘が重症化してしまいます。それによってますます浣腸が必要になることはよく理解しておく必要があります。
    赤ちゃんの場合は、自分で我慢ができないので、1歳あるいは1歳半ぐらいまでは、便秘の悪循環に入りません。そのため、ある意味では浣腸はトラウマにならないので、安心だというふうに言うこともできます。(友政剛先生)
  • Q10
    浣腸が恐怖症に・・・
    保育園に4歳の子どもがいます。おむつをはいていて、1週間に一遍くらい1日ずっと便がしたいと泣きます。
    内科にかかっていて浣腸をしますが、それが恐怖症になり、お母さんとおばあちゃんが羽交い絞めでやっている状態です。このように恐怖症になってしまった場合は、どのように治療を進めていったらいいでしょうか。下剤(ラキソベロン)は毎日飲ませ、浣腸は4、5日出なかったらやっています。
    A10
    4、5日たって浣腸をするのがよくありません。小さな子どもが4、5日分出すのは大変なので毎日やることが必要です。もちろん最初は大変です。浣腸のときは大騒ぎして嫌がりますが、「浣腸をするよ」「嫌だよ」「でもやるよ」という、そのやり取り自体がすごく大事ということもあります。このようにして子どもが、「お母さんは私の健康状態に気を使っているんだな、嫌なことだけど必要なことをしてくれるんだな」とわかることも大事です。最初のうちは毎日浣腸をして、きちんと定期的に出してすっきりするという訓練をしていくと、嫌々ながらも協力してくれるようになります。嫌であっても、1日のうちの30分間だけ嫌な思いして、あと23.5時間はいい生活をすると考えてみてください。
    また、薬の量もとても大事で、子どもであっても大人と同じ量を使ったりします。浣腸もそうです。浣腸というと、市販の10ccの小さいものを想像しますが、10ccですと便の手前しか出ず、苦しい思いをしたのに全然すっきりしないということになりがちです。まずは、溜まっている便をしっかり出すことが大切です。(中野美和子先生)

    A. 浣腸は早目にやれば痛くないということを子どもが理解すると、そこからはそれほどトラウマになりません。無理なようでも毎日、少なくとも2日に一遍ぐらいは浣腸をしてもいいと思います。ただ、それ以前の問題として、5日目に浣腸をして痛いとすると、そもそも下剤が足りていない可能性があります。ちゃんと下剤を使っていると、仮に5日目のかん腸でも、それほど痛くなく出るはずです。ですから、下剤の量の調節も大切です。
    子どもにあまり慣れておられない内科の先生であれば、子どもに薬を出すときに、量の調節に不安感があって、その子にふさわしい量を出しておられないことも考えられるので、まず、浣腸の回数を上げるとともに、浣腸をしたときに十分やわらかい便が出るくらいに薬の量を調節することが大切です。(友政剛先生)
  • Q11
    浣腸や座薬を嫌がります・・・
    年齢を重ねるごとに綿棒浣腸への拒否が強くなったため、一時期綿棒浣腸を辞めたところ、便意すら催さない状況になりました。検診で、薬を使ってでも便を出す習慣をつけなさいと言われましたが、綿棒浣腸からの恐怖心か、座薬を入れるときはものすごく怖がり、拒否して暴れます。座薬を入れた後も、排便があるまで、泣き叫び汗だくになりながらのたうちまわります。
    A11
    座薬は、量が少なくて刺激が少ないと、出すまでに時間がかかり苦しみます。もし座薬を大人の量にしてみて、それで挿肛後に苦しむのなら、グリセリン浣腸のほうがよいでしょう。この場合もある程度の量が必要です。座薬、浣腸は、本人が怖がるのを無理に行うのですから、すぐに効果が出て、本人が怖いけれどすぐにすっきり出て良かった、と思うようにならないといけない。ふつうは、座薬・浣腸を入れるときは大騒ぎでも、そのあとは、楽に排便ができます。座薬が溶けるまで大騒ぎなら、浣腸のほうが、その場で出ますから、むしろ苦痛が少ないかもしれませんね。浣腸は入れて、1分ぐらい押さえて、すぐに排便してよいのです。(中野美和子先生)

場所について

  • Q12
    トイレで排便できないのですが・・・
    赤ちゃんの頃から便秘症で、今も4~5日に1回位しか出ません。
    それも 決まった姿勢でないとダメで、トイレで出来ずに パンツの中で排便をします。病院に行った方が良いのでしょうか?
    A12
    排便の姿勢としては、座った方が出しやすいのですが、便秘の子どもは出すのが怖くて、ぎりぎりまで我慢して、どうしようもなくなってから出します。その時は何かにしがみついて、おむつかパンツに出す子が多いです。便秘が改善するまでは、トイレ排便を無理強いしてもダメです。子どもの便秘に詳しい病院に行ってください。便が溜まり過ぎている状態を早くなくしてあげましょう。(中野美和子先生)
  • Q13
    オムツをはずすことができません・・・
    排便をオムツでしています。5歳くらいから、トレーニングをしていましたが、オムツをはずすことができませんでした。トレーニングの際、厳しく叱ったり、オムツに頼りきってたりと母親である私に問題があることは自覚しています。週5回オムツで便座に座り排便をしていますが、ここ2、3日はオムツを履かせずトイレの便座に座って排便を試み、浣腸も行いましたが、うまい具合に排便しません。
    A13
    排便自体は楽にできているが、オムツにこだわるなら、待つのが最もよい方法です。彼なりの事情があるのでしょう。無理にトイレに座らせても、排便しません。トイレで排便しなければふつうではない、というこだわりをまず捨ててください。トイレで排便するというハードルを越えるために彼の内面の成長を待ってあげてください。(中野美和子先生)

失禁について

  • Q14
    便をもらしてしまいます・・・
    この春小学1年生になったばかりの娘が、夏休みの前あたりからうんちがもれるようになりました。
    便は親指の先ぐらいのことがほとんどで、頻度は平均して週1回ぐらいです。
    A14
    便の漏れの原因は、ほとんどが便秘です。直腸に便がつまっていると、それが何かのはずみで、溢れて漏れてしまうのです。本人もそうとう気にしているはずです。毎日排便の状況をきちんと聞いてあげて、便が出ないことや漏れたことを叱らないでください。小児外科医を受診して、直腸の診察やレントゲンで便秘の状態を診てもらってください。浣腸などで残便をなくすような訓練をするとよくなることが多いです。(中野美和子先生)
  • Q15
    便のもれに気がつかない
    便失禁があります。ずっと、トイレが怖いとか、他の事に夢中になっていて面倒だから失敗していると考えておりました。が、学童の先生に「もう出来なくてはいけない年齢」と言われてから、子供と向き合って話をしたところ、「気がついたら出ていた」と言っていました。これは病気でしょうか?
    A15
    便の「失禁」の多くは、本人がわからないうちに漏れてしまう、というもので、便意があるがトイレが近くになくて間に合わない、便意があるが遊びに夢中で面倒で出してしまう、というのとは違います。こどもの便失禁の原因のほとんどは、慢性機能性便秘症です。本人は、幼い時からそういう状態が続いていると、それがふつうになり、正常の排便を知らないまま育ちますので、改めて異常とは思いません。漏れたことがわかっていても、自分にとって恥ずかしい、気まずい状態なので言わない場合もありますし、いつも便が漏れていると、肛門周囲の皮膚感覚も鈍りますので、ほんとうにわからないこともあります。便の漏れは、学童の先生に指摘されているほどはっきりしているのなら、放置するべきではありません。早く、排便に詳しい小児科、小児外科を受診してください。(中野美和子先生)

おならについて

  • Q16
    おならがくさいんです・・・
    1年前から、おならが硫黄臭になっていることが気になります。
    学校生活で臭いは本人も周りもつらいと思いますので、私もずっと気になっております。
    A16
    おならの臭いは、食べ物でほとんど決まります。へんな臭いのときには、食べていたものをチェックしてみてください。また、便が溜まり気味になると、良い菌が減って、悪い菌が増えてしまい、臭いガスが増えるものです。臭う時は、便が溜まっていないか、注意してみてください。(中野美和子先生)

出血について

  • Q17
    排便時に少し出血します・・・
    4か月ほど前から排便が1週間に1度です。やや硬めのうんちを大量にします。
    最近おむつがとれ、補助便座でするようになったのですが、少量の出血があります。
    A17
    直腸に数日分溜めてしまうタイプの便秘では、排便時に出血することがあります。肛門が切れて出血する(裂肛)こともありますが、便が溜まって肛門がうっ血し、少し硬めの便でも、粘膜がこすれて出血することもあります。便秘に詳しい病院を受診すると良いと思います。(中野美和子先生)
  • Q18
    排便時にたくさんの出血があります・・・
    1ヶ月前から排便時に大量に出血するようになりました。
    約1ヶ月の間に6回ほどそのようなことがありました。何かの病気でしょうか?とても、不安です。
    A18
    出血の量が多いという感じがするなら、早く受診してください。病気の可能性があります。受診するのは小児外科です。(中野美和子先生)
  • Q19
    切れ痔を繰り返しています・・・
    排便の際出血し、病院を受診したところ大変深く切れていて完治するのに長くかかると言われました。薬によって毎日自力ででるようになり完治しました。しかしながら、薬が変わると飲んでくれなくなり、うんちが固くなりまた切れてしまい大出血となりました。それからは毎日薬を飲んでいます。浣腸を嫌がり泣き叫ぶわが子を毎晩見るのが辛く主人と相談して専門外来受診を検討中です。
    A19
    肛門が切れるのは2次的なことです。内服薬で便を柔らかくしても、便を溜めていれば、全体には軟便でも先は必ず硬くなりますので切れます。先が硬いと、本人は絶対に排便しようとしません。浣腸・座薬をもっと使って、溜めないように、硬い便を作らないようにしてみるのが、一番よいと思います。多量たまってから浣腸・座薬だと、とても苦しい。まず、それをやってみてください。(中野美和子先生)

食べ物について

  • Q20
    食べ物で便秘は治りますか?
    赤ちゃんの時から便秘気味でした。幼稚園の時も、浣腸して出すことがほとんどでした。
    世間で言われている、プルーンやヨーグルト、繊維質の食べ物、いろいろ試しましたが、何も効果がなく自分で出すことができなくなっています。
    A20
    ふつうの食事をたくさん食べさせてください。和食を中心に、野菜(根菜を多く)、豆類、海藻、油分も大切です。バランスよく食べていれば、あまりこだわりすぎなくてよいです。食事療法は、便を直腸までスムーズに来させる手段です。直腸に便が溜まってしまっている場合は、食事だけでは良くなりません。(中野美和子先生)
  • Q21
    効果的な食材は?
    和食と洋食、どちらが便秘改善メニューを立てやすいでしょうか。また、最も効果的な食材は何ですか。
    A21
    どちらかといえば和食です。白米に、大麦を1割程度入れるだけでも、食物繊維の量は変わります。大麦は白米の17倍から19倍くらいの食物繊維を含んでいるためお勧めしたいです。和食は麦ごはんに納豆、みそ汁も付けやすく、みそ汁には必ず具を入れるため食物繊維は当然摂りやすくなります。
    さらに、常備菜と言われるようなひじきの煮物や、つくだ煮があるとよりバランスのよい食事になります。野菜に関してはレタスやキュウリ、トマトといったサラダを考えがちですが、加熱した野菜をお勧めします。電子レンジで加熱したキャベツにとろろ昆布をまぶすなど簡単にできます。何といっても「ご・ず・こん」(ゴマ、豆、昆布、根菜)を子どもたちに食べさせることが便秘解消だけでなく、生活習慣病の全てを予防することに繋がります。(宮島則子先生)
  • Q22
    赤ちゃんのときの水分摂取と便の関係は?
    赤ちゃんのときの水分摂取と便の関係は?
    A22
    水分はある程度足りている状態で飲んでも便秘に効果はありませんので、赤ちゃんのときに余分な水分を与えることはお勧めしません。水分をやれば便が軟らかくなるというものでもないです。脱水にならないように水分を補給すると考えていくことが大事です。(友政剛先生)
  • Q23
    子どもが少食で、薬に頼っています・・・
    1歳男児、日中たびたび便意を催していきむが、出ないことの繰り返し。
    偏食で少食でお母さんは、悩みに悩んで薬に頼ってしまっています。最近はオリゴ糖をヨーグルトにまぜて試しているようです。お母さんは、野菜が嫌い、料理が嫌い、苦手。食卓には好きな物だけを出しています。どうしたらいいでしょうか。
    A23
    A. 子育てしながら仕事をしているお母さんが、子どもに朝御飯食べさせて保育園に出すこと自体が大変なことだという理解から入ってはいかがでしょうか。お母さんは野菜が嫌いで料理が下手というのは仕方ないと思って、園での給食がそのお子さんにとって楽しい時間になるような工夫をするのも大事です。また、食べるということに魅力を感じていない子どもが多くいます。少食は個性だと思って、無理強いをしないこと。そして、食べるということが幸せなことだと、本人にわかってもらうことが大切です。
    給食でも、家庭ではなかなか出てこないような、切り干し大根やヒジキなど日本の伝統的な食文化を食べやすいようにアレンジして、食べる経験を豊かにしていただきたいと思います。(宮島則子先生)

    A.“お母さんは薬に頼ってしまっている。”ということは、別の見方をすれば、薬はちゃんと飲ませているということでしょう。また、余り効かなくてもおかしくありませんが、オリゴ糖をヨーグルトにまぜて試しています。つまり、お母さん自身は努力をし、治療意欲はある方というふうに思います。その点はとてもよい部分です。料理が苦手というのは、料理に自信がないのかもしれません。
    このような例で一番のポイントは、子どもさんが少食であるということ。これが全ての始まりであることが非常に多いのです。少食なのは生まれつきのものです。栄養の必要量というのは個人によってまちまちですが、他の子と大体同じ量を食べさせようとどの親御さんも思ってしまいます。実は、食事量が足りているかどうかの判断は簡単で、体重や体型を見ていくと判断できます。体重がちゃんと増えていれば少なくもカロリーは足りているのです。今はむしろ、食べ過ぎが問題な時代だが、昔からたくさん食べたほうが元気というのが頭の中にあり、たくさん食べないと不安になってしまうようです。そのため、とりあえず食べる物を食べさせようとして偏食になります。また、子どもはお腹がすいていないので食べないのですから、無理に食べさせようとすれば、甘い物や好きな物しか食べず、その味に慣れてしまって、ますます自然な食べ物の美味しさがわからなくなります。そのため、お母さんの料理を美味しいと思わず、お母さんも自分の料理がまずいのではないか、というふうに自信喪失して、さらに好きなものだけを与えるようになるのではないでしょうか。
    また偏食になるとどうしても甘い物などで、カロリーだけが足りて繊維不足となり、便の出も悪くなります。
    薬を飲ませていることは大正解で、毎日飲ませているのは立派なお母さんと言ってあげてもよいでしょう。ただし、薬の量が足りてないかもしれません。
    このお母さんの熱心さを支えながら、一番説得したいのは、ちゃんと体が育っていれば少食でもいいということ、カロリーは足りているので、量は少なくてもよいから質のよいものを与えるのが大切ということを理解して頂きたいです。(友政剛先生)
  • Q24
    好き嫌いが多いんです・・・
    食事療法が1番と思うのですが、少食で野菜嫌いで中々食物繊維が取れてるとは言えません。
    青汁もヨーグルト飲料も試してみたのですが、効いた気がしません。
    A24
    食事療法、習慣付け、などは、便秘の程度が軽ければ有効ですが、ある程度進んで、直腸が変化していると、効きません。こういうことはとても重要ですが、それにこだわると、かえって、お子さんを緊張させて、逆効果です。なんとか、薬を使わずになおそうとこだわると、なかなかうまくいきません。偏食や小食は、ゆっくりと少しずつなおせばよいのです。急になおるものではありません。今は、内服薬が必要な時期です。でも、成長すればいらなくなるのですから、今は、当分の間、内服を使うことにして、楽しく過ごしてくださいね。(中野美和子先生)

病院について

  • Q25
    全身麻酔の治療法とは?
    保育園で、2歳9カ月になる男の子がいます。浣腸を2本トライして出なく、目薬のような内服薬を毎日12滴飲んでいても出ない状態で、おむつにべっとりしたものが毎日のようについているが出ません。余りにもひどいので病院を受診したところ、手術を勧められたようです。
    毎日浣腸と投薬をして出したほうがいいのか、思い切って手術をしたほうがいいのか、とても悩んでいます。治療方法は、全身麻酔で腸の中に詰まっているものを全部だすと言われています。
    A25
    A. 慢性機能性便秘で手術するということはありません。生まれつき便が出ないような神経の病気や、位置的な異常などがある場合は手術をしなければならないこともあります。この「手術」というのは、全身麻酔での処置、ということではないでしょうか。(中野美和子先生)

    A. 手術というのは、全身麻酔で便をかき出すことを言っているのでしょうね。これの治療は普通は「手術」とは言いませんが、治療方針として正しいです。そして、早めに治療してもらうほうがいいです。一度、腸を空にしてからでないと薬もよく効きませんし、本人がつらいだけになってしまいます。浣腸で便が出し切れない場合には、かき出す治療をしますが、その時に、ものすごく肛門が痛くなるので、全身麻酔をする場合があるのです。問題は、これだけひどい便秘だとすると、便を出して一度腸を空にしても便秘が治らない場合があるということです。本当に慢性機能性便秘なのか、それとも、もともと神経の病気があるのではないかということまで考えておくことが大切です。(友政剛先生)
  • Q26
    どのような受診・検査が必要ですか?
    初診時に触診しただけでしたが、レントゲンや肛門、腸の検査などは必要ないのでしょうか?
    また、小児外科以外に肛門科の受診は必要ないのでしょうか?
    A26
    お話と診察だけでほとんど診断できます。レントゲン検査のような被爆する検査は、ふつうは必要ありません。便秘の程度が強い場合は、レントゲン検査を行い、更に精密検査をすることがあります。また、肛門科の受診の必要はありません。幼児の慢性便秘については、大人の肛門科の知識は通用しません。(中野美和子先生)