フィリピン:バイオガス事例3
作者 日本トイレ協会   
2008年4月17日(木曜日) 10:52

人の排泄物を利用していたバイオガス事例:Benguet, Philippines No.3

ト イレ協会会員の山本です。私の個人的な力量不足で長らく更新できずにいましたが、少しずつフィリピンでのお話を再開させて頂ければと思います。話は前回 11月に投稿致しました「バイオガス事例:Benguet,Philippines No.2」の続きNo.3として書かせて頂きたいと思います。

昨 年私は、滞在するバギオ市周辺のベンゲット州において3カ所のバイオガス利用者宅を訪ねました。そしてその内2カ所(前回までにお話ししたNo.1,2) はビニールチューブを使った装置でしたが、今回お話しする3カ所目の場所はコンクリートを使った物でした。そして何と言っても前回までの2カ所と違う点 は、

「人間の排泄物をバイオガスの為に使用していた」


という点です。残念ながら今は使っていない(人間のトイレとバイオガス・システムを繋げていない)とのことですがそれはなぜか。後ほど記述させて頂きますが、まずは現在の写真をご覧下さい。

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道沿い左側の石垣になっているところの家です。ちょうど日が昇っている真下が家の敷地です。

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分 かりづらいですが、遠目からの視点です。中心の丘になっている部分(奥の山でなくその手前の丘)の左、白くなっているところが家です。一つカーブを戻って 約200~300mくらい離れたところから撮っています。やはりこちらも標高1400m前後くらいの高地に位置します。

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利用者宅の全体写真です。手前に豚小屋、奥が敷地の入口で左には道路が見えます。分かりにくいですが、右手前に人がいるところから右奥に並んでいるのがこちらの家族の家々で、そのひとつの母屋にガスを使うキッチンがあり、繋がっています。

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これが豚小屋です。今は5~10頭前後飼っているそうです。

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写 真下の溝が豚のし尿を流し込む入口(Inlet)、でその先の地面にバイオガス・システム本体(Plastic Digester)があります。この排水溝は豚小屋の床から直接来ていて、豚が小屋にした糞を床掃除ついでに水でそのまま流せる(流す)ということになっ ています。
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出口(Outlet)はこのちょうど先、道路とこの家の敷地の間の小さな崖に作ってあります
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これが出口(Outlet)です。写真上部には道路が見えます。

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そしてこの左の家がバイオガスが使われている母屋です。地面にパイプが見えますでしょうか。これが地面下の本体からキッチンに向かって伸びているパイプです。

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キッチンです。パイプが壁の上部を伝わりキッチンへ伸びています。

BG,Tuba,kitchen2.jpg
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実際に火をつけて頂きました。弱いようですが使えるそうです。

●ビニールチューブではないスタイル
  こちらの装置本体は、ビニールチューブでない、レンガを積み上げコンクリートで固めた本体でした。高さは約5ft(約1m52cm)で幅が約12ft(約 3m66cm)。ベンゲット州立大学のエンジニアとインド人留学生が紹介してくれたシステムで、「インドで使われているシステムで、 『Dingdangban Style- Indian style』だ。」とのこと(Dingdangbanは人の名前と思われる)。
 本体の形は楕円ではなくボールの様に球状に近いようです。そして本体上部には中をかき混ぜるためのパドルが差し込んでありそれを回して混ぜる、とのことでしたが、どこにそんな物があるのか分かりませんでした(→また時間があるときに確認しに行こうと思っています)。

●ガスが余剰に出た
  こちらのお宅のバイオガスは97年に作り、導入当初は10~15頭前後の豚を飼育して使用していたそうですが、今では5~10頭程度に減らしたそうです。 というのも、理由は「ガスが出過ぎた」とのこと。こちらの家庭では使いきれない程のガスが発生し、ガスを使用しない時間帯でもずっと出さなければならない 状態が続いたそう。何とも贅沢な話ですが、それで豚の数を減らす手段を選んだそうです。そして減らした今では、適量を朝昼夜3食分の調理に使用していると のこと(それでも多い日には入口(Inlet)を閉じるとのこと)。
 気になる事があります。前回までの2事例と比べて対照的なのがこのことなの です。同じ標高1400m前後にある高地であるにもかかわらず、前2事例の家庭では「朝しか利用できない分しかガスは発生しない。」と言っているのに対し て、「ガスが発生し過ぎてどうしようもなかった。」と言うのでしょうか。豚の数はそれほど変わりません。ビニールチュブとレンガで作られたシステムの違い でしょうか。。。

●人間のし尿利用をどうしてやめたか
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 人間のトイレ。家とは独立して家の前に広がる庭(というより日本的に言うならただの敷地)にあります。この左地下にバイオガスの本体があります。実は昔、このトイレをバイオガス装置につなげ、人のし尿も燃料として使っていたと言います。ですが数年で繋げるのを止めてしまったとのこと。理由は「くさかった」の一言。人のし尿を混ぜるとどのくらいくさいのでしょうか。ただ人のし尿を混ぜてもガスは発生していたようです。

●手入れ
  大掛かりなメンテナンスは過去に一回しただけと言います。それ以外は特別な掃除をしていない、とのこと。その大掛かりなメンテナンスというのは、本体の中 に人が入って掃除をしたそうです。出口(Outlet)から人ひとりが入り、中のし尿を全部取り出して掃除したそうです。そのとき壊れたわけではないと思 いますので、ただ点検の為に清掃をしたという事だと思います。しかし10年以上使っていて点検がたった1回というのでも利用できてしますこのバイオガスは すごいです。もしくはちゃんと定期的に清掃や点検をした方がよいいのでしょうか。。。

●紹介、設置に関わっているのはベンゲット州立大学のエンジニア達
最 後になりますが、今回まで紹介してきた3つのバイオガスは、いずれもベンゲット州立大学のエンジニア(農学部)の人たちが教えに来て(設計から建設作業ま でを協力して)作ったそうです。聞いた話によると、装置の材料費などは自費で出しているようですが、このようなエンジニア達はおそらく無償で設置に関わっ たと思われます。当人が「バイオガスをやってみたい」という話をしていたところ、エンジニア達が協力しにきてくれた様です。

 そして実は コルディレラ地方では、バイオガスを導入する際に利用する「導入の手引き」の様な物を、農業省コルディレラ支局畜産部(Department of Agriculture, Cordillera Administrative Region, Livestock Sector)が再版・配布していていました。次回はそのことについても少しお話しさせて頂ければと思います。

日本トイレ協会会員
山本勇樹
 
フィリピン:バイオガス事例2
作者 日本トイレ協会   
2008年4月17日(木曜日) 10:51

バイオガス事例:Benguet,Philippines No.2

日本トイレ協会会員の山本です。
今日は、昨日UPしましたバイオガスと同じシステムで作られている別の家庭の物を取り上げます。場所は同じく、ベンゲット州の州都ラ・トリニダッドという町の中です。なので標高は約1400mとなります。雨期でしたのでやはり雨の中での訪問でした。

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こちらの家です。この家屋のちょうど裏の庭にあります。大きな家ですが、この町で言うと平均よりちょっと裕福な家庭、と言ったところでしょうか...

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調 理の煙で見えにくいですが、こちらが庭です。手前左に調理場(外に作ってありますが珍しくはありません)、右手の大部分に畑、その奥(庭の中間辺り)にバ イオガスの本体(となるPLASTIC DIGESTER)、そしてその奥(庭の一番奥)に豚小屋がありました。この時は残念ながらガスではなく薪の火で調理をしてました。

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本体です。ここは地上の高さまで埋まってはいるものの、やはり先日UPした事例同様、この家庭の物も、まるっきり地上からは見える形で設置されています。手前がOutlet(出口)で奥がInlet(入口)です。

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その入口側から見た写真です。奥に大きい黄色いビニール袋が垂れ下がっていますが、あれを捲るとGas Reserviorが出てきます。ぶら下がって設置されています。

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こちらは(液肥の)出口側から見た庭。

●バイオガス装置
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こちらが本体(Plastic Digester)です。このプラスティックを守る為?に上には緑色の網(結構固い)が置いて(ただ上に被せてあるだけ)あります。

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こちらは糞や水を入れる入口。

BG,BSU-B,outlet.jpg
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こちらは出口。写真2枚目の手前にあるシャベルの様な物を使って出し入れをします。

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こちらがその本体とキッチンとをつなぐ途中にあるGas Reservior(ガス貯蔵器/ガスレシーバー)です。
BG,BSU-B,Greservior2.jpg
この時はすでにパンパンで、いつでも使える、のではないかと思いました。パンパンということは使える、ということだと思っていたのですが?なぜ使っていなかったのか、聞ききそびれてしまいました。

BG,BSU-B,howto_GR1.jpg
BG,BSU-B,howto_GR2.jpg
こちらはそのGas Reserviorを作る際の説明。ゴムチューブの端っこの口の綴じ方です。単純にまず写真上のように折り、そして写真下のように折って閉めるのだ、と、この持ち主が説明して下さいました。

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Safety Valve(安全バルブ)です。ここに水を溜めて、本体の中の水の量(圧力)を分かるようにするそうです。

BG,BSU-B,way_from_body.jpg
本体からガスを出しているパイプの写真です。

BG,BSU-B,way_to_cookery.jpg
ここがキッチンです。

BG,BSU-B,GRandCookery.jpg
右手のGas Reserviorを通り、左手にあるキッチンに行きます。トタン屋根になっているところがキッチンです。

ガスの流れを簡単に書きますと、Plastic digester → Safety Valve → Gas Reservior → Kitchenという流れになります。

BG,BSU-B,cookery.jpg
そしてこれがこのバイオガスを利用するコンロです。このバイオガスで得た火は、豚の餌を調理する為に使用しているそうです。

日本トイレ協会会員
山本勇樹
 
フィリピン:バイオガス事例1
作者 日本トイレ協会   
2008年4月17日(木曜日) 10:50

バイオガス事例:Benguet,Philippines No.1

日本トイレ協会会員の山本です。
今回は個人家庭で使われているバイオガスの事例を紹介します。場所は、フィリピン北部の山岳地域に位置するベンゲット州Benguetの州都ラ・トリニダッドLa Trinidadという町にある家です。

●家の全景
こちらのお宅です。
BG,BSU-A,house0.jpg
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バギオの隣町のトリニダッドですが、この辺はバギオを含めて急な丘に家々を建てています。写真では分かりにくいのですが、ホントに急なこう配です。

●バイオガス敷地全景
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こ ちらがバイオガスの置いてあるところの入り口です。自宅(1軒屋)の裏に位置するところに人間サイズ程の豚が20頭は飼える豚小屋とバイオガスの敷地があ ります。ここからではバイオガスの装置が全く見えません。豚小屋も所狭しと、なんだかとんでもないところに作ってあります。

●バイオガス
BG,BSU-A,body.jpg
こ ちらがバイオガスの本体です。すごいところに作ってありました。本体の奥や左手は崖です。全体の写真を撮るにも一苦労(狭くて撮れてない)のところです。 本体奥が糞を入れる装置入口、手前が液肥が出る装置出口です。また本体が1/3だけ地下に埋まっています。バイオガスの本体は地下に埋めると聞いていた自 分にとっては意外でした。右手に吊るしてあるのがGas Reserviorです。
BG,BSU-A,body-Greservior.jpg
BG,BSU-A,body-Greservior2.jpg
日本語にすると貯蔵器となりましょうか。ちょうどガスを作るその本体と、キッチンとをつなぐパイプの中間に位置します。ここにガスが溜まり(貯め)、そこからキチンへとガスを運ぶ形になっています。

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BG,BSU-A,inlet2.jpg
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これらは本体の入口で、排泄物や水を注ぎ足すところになります。

BG,BSU-A,outlet.jpg
こちらは本体の出口です。液肥が少し出てきています。この液肥を有機肥料として使います。

●豚
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豚です。この写真の豚は人間の2~3倍の大きさもあります。こちらの家庭ではそのような大きい豚が3頭、そのほかに普通サイズ(体調が1~1.5mくらい)の豚が10頭程いました。

●人間の糞について
こちらのバイオガスシステムでは人間の糞は使っていませんでした。今回この他に2件程、このバギオ周辺の個人家庭で利用しているバイオガスを見てきましたが、残念ながらどこも人の糞を使っているところはありませんでした。しかし豚の「トイレ」にはかわりありません。
ち なみに余談ではございますが、豚を飼っているのはこれ自体を自宅のごちそうにする為と商品として売る為に育てています。田舎に行くと多くの家庭で見られる 光景ですが、このような比較的町のところでも、こちらの家庭では飼っているようです。こちらの家庭でバイオガスを作る事になったのは、もちろん自給でエネ ルギーを得るためで、家庭の経済的負担を軽くする為に始めているのですが、バイオガスを家庭で持つ条件として豚を家庭で飼育する事が出来る(経済的、時間 的、空間的余裕がある)ことが条件になります。
こちらの家庭ではおそらく豚を飼っていてもまだ装置を置けるスペースがあったので始め
たのだと思われます。といいましても、とても狭いところになっています。
しかも足場はとても汚いです。

●使用方法
といいますのも、写真を良くご覧頂ければと思います。糞をどのように入れるか。このそうですと、装置入口と豚の糞をする場所(豚小屋)は5~10m離れています。=人が豚の糞を毎朝装置入り口まで持っていきます。この蓋がしてあるポリバケツで入口まで持っていきます。
まずは豚小屋からポリバケツに、ちりとりの様なものをスコップ代わりにし移します。そしてそこから狭い道を通り装置入口へ。
BG,BSU-A,wastebox.jpg

これは豚小屋です。真ん中が通路で、この右奥に本体があります。少し緑になっていますので見えますでしょうか。
BG,BSU-A,pighouse.jpg

バギオ含めこのあたりはもちろん山の気候です。この時期は雨期に当たり午後の時間は毎日雨が降っています。足下は豚のこぼれ落ちた糞なのか泥なのかもう分かりません。

以下情報です。
・2年前に設置。毎日利用しているが故障は一度も無い。
・特別なメンテナンスはしていない。装置を入口や出口を掃除する程度。
・ガスを使うのは朝食のとき。朝食の使用分でガスはなくなる。
・安全の為(何かあったらすぐ分かるように)に地下にせず見えるようにしている。

どうか間違っている説明ならびに語彙がございましたら、また他にどのような情報が必要になるか等、ご指摘頂けると幸いです。続けて他の件もUPしたいと思います。その後、いくつかの感じた点、疑問点等がありましたので書かせて頂ければと思います。

日本トイレ協会会員
山本勇樹
 
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