うんち研究室 - 3つのうんち力

 人が健康的な生活をおくるために、3つのうんち力を発揮することが大切です。その3つのうんち力とは、

うんち力1:うんちをつくる力

 食べ物との知恵くらべ。いかに食べ物の本質、成分まで網羅して食すがその人の力です。様々な危険、病気になる機会の多さに立ち向かう時、食はきわめて重要な働きをしてくれます。そんな食を考えていたい。流行で食べるのではなく、格好よく食べるでもない。生きて命を繋ぐ食でありたい。

 人の大腸は結局、うんちを貯める機能のみが強調されるけど、本当にそうなのかとつくづく考えてしまいます。腸の周りにはきわめて精巧な神経がぐりぐりと張り付いて、大腸機能を自分の意志とは別に機能してくれている他人みたいな存在。この貯めてくれる大腸に私達人間は活かされているのです。健康も寿命も病気もそうなんです。

 結局、うんちは長い旅の最終産物として大腸に達し、上行結腸で水分状あるいは粥状の状態で上の押し上がりながら、横に向けて横行結腸を通過して、下行結腸に入る手前で、急速に水分が約20%ほど吸収されて、ようやくS字状結腸で貯められのです。腸内容物がうんちとしてこの世にでるまで、大腸壁とぶつかり合いながら、それこそ、うんちとして生まれ変わるのです。

うんち力2:うんちを育てる力

 結局うんちは水が80%、残り20%が固形成分、その半分が腸内細菌、ですから、うんち全体の10%が腸内細菌の塊りなのです。この塊りが人生を決定的なものにするのです。食べカス成分が細菌にとって一番のご馳走です。人間はカスであると思っても、腸内細菌はそう思っていないのです。そう、カスは腸内細菌を「育てる大地」なのです。しかも、食事の欧米化にともない悪玉菌にとってすごいご馳走が供給されてくるのです。善玉優位なのか悪玉優位なのか、それは貴方次第です。

うんち力3:うんちを出す力

 便秘の人は運動が大嫌いです。だいじに貯めたうんちを大事にする人こそが便秘(症)なんです。本来生物は食べた残りカスを出すのが当たり前なのですが、人間だけがため込むのです。いえ、きちんと出すことが出来ないのです。動物は貯めれば、体臭がよりきつくなり、自らの生命を危なくすることに繋がります。いかに敵から逃げるか。それは「自分を消す」ことが一番大事なことなのです。うんちを出す力、つまり、大腸の周りの筋肉が全くないか、きわめて低下しているが故に、出す力がないのです。うんちを出す力こそ、健康生活を向上させるために是が非でも欲しい機能です。それは運動が一番です。

 「うんち力」、このすごいパワーこそが健康長寿への近道といえましょう。このように3つのうんち力を発揮して、健康度をアップしましょう。

<発酵食品を食べよう 団塊世代の方々へ>

辨野義己先生プロフィール

独立行政法人 理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室長。 農学博士。酪農学園大学獣医学科卒、東京農工大学大学院を経て2004年から現職。35年以上にわたって腸内細菌学・微生物分類学の研究に取り組んでいる。

おもな著書として、「ウンコミュニケーションBOOK」(ぱる出版)、「ヨーグルト生活で「腸キレイ」」(毎日新聞社) 「ビフィズス菌パワーで改善する花粉症」(講談社)、「べんのお便り」(幻冬舎)、「病気にならない生き方で、なる病気」(ブックマン社)などがある。