うんち研究室 - 発酵食品を食べよう

プロバイオティクスとは

 病気の原因になるのも微生物なら、病気を防ぐのも微生物。そのなかでも、乳酸菌はがんを予防したり、血圧の上昇を抑えたり、免疫活性を活発にしたりと、ざまざまな機能を有しています。こうした乳酸菌の機能をとりこんだのが、機能性ヨーグルトです。機能性ヨーグルトは、健康に有益な作用をもたらす乳酸菌を使っているのです。

 最近、よく言われるようになったプロバイオティクスとは、この健康に有益な作用をもたらす微生物をさすことばなのです。善玉菌とよばれる健康維持にとって好ましい働きをする微生物の働きを利用しようというのが、プロバイオティクスの考え方です。

乳酸菌の効果

 20世紀になって、ロシアのメチニコフが、乳酸菌による不老長寿説をと唱えたことから、有用な乳酸菌の研究がさかんになりました。メチニコフは、長寿で知られるブルガリア地方で、ヨーグルトが食べられていることをヒントに、いち早く健康と乳酸菌の関係に目を向けたのです。その後100年間で、乳酸菌の研究は飛躍的に発展し、ヨーグルトやチーズなどの乳製品や発酵乳、乳酸菌飲料が開発され、漬物などにも使われるようになってきました。乳酸菌と名づけられてからは100年余りですが、人類はこれを使って、12,000年以上も前から、発酵食品を食べていたのです。しかし、食物を保存し、おいしくさせるだけでなく、病気の予防に役立つ数々の乳酸菌の発見は、21世紀になって花開いたのでした。

 一方、乳酸菌を熱するとどうなるか。アラブ地方では、ヨーグルトの煮込み料理がよく食べられています。また、インドではカレーにヨーグルトを入れています。料理としてヨーグルトを使えば量もとれるし、ヨーグルトの食べ方のバリエーションも広がります。たしかに、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、60度で30分、100度以上なら数秒熱せられると死んでしまいますが、死んだからと言って、乳酸菌は何の効果もないわけではありません。死んでもその菌体成分が、効力をもっているのです。

 乳酸菌が、病気の予防や改善に効果があり、ご自分の状態にあった乳酸菌を選んで食べ続ければ、効果が得られるのです。さらに大切なことは血圧の上昇を抑える、アトピーの抑制効果、ピロリ菌をやっつける効果など、すべての乳酸菌にある機能ではありません。それは菌株レベルでの機能なのです。各菌株の効果を知って、自分の健康維持や病気予防・改善に役立ててくださればと期待します。

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辨野義己先生プロフィール

独立行政法人 理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室長。 農学博士。酪農学園大学獣医学科卒、東京農工大学大学院を経て2004年から現職。35年以上にわたって腸内細菌学・微生物分類学の研究に取り組んでいる。

おもな著書として、「ウンコミュニケーションBOOK」(ぱる出版)、「ヨーグルト生活で「腸キレイ」」(毎日新聞社) 「ビフィズス菌パワーで改善する花粉症」(講談社)、「べんのお便り」(幻冬舎)、「病気にならない生き方で、なる病気」(ブックマン社)などがある。