うんち研究室 - べんは体の情報源

辨野(べんの)先生による「べんのいい話」、スタートです!
ここでは、「べん(便)」、つまり、うんちを様々な視点で見つめ、健康とうんちの関係を探っていきます。
今回は、軽蔑されがちな臓器である「大腸」のお話です。大腸は、うんちをつくる場所であると同時に、体の重要な情報源なのです。いったい、どんな情報源なのでしょうか?

病気の発信源?

 私達の体の中で、一番病気の種類が多いのはどの部分でしょうか?
その答えは「大腸」です。意外に思われるかもしれませんが、病気の原因の多くは、腸内環境にあるのです。

 大腸と言えば、うんちを作るだけの、暗い、汚い、臭い臓器とお思いではないでしょうか。体の中で、脳や心臓といった臓器は大事にされるのに、不当な「蔑視」を受けている大腸。この大腸こそが、病気の発信源なのです。

 口に入れた食物は胃で分解され、小腸でほぼ消化・吸収され、残りが大腸へ行きます。そこで水分の約80%、残りの食べカスが便として排出されるのです。その時、便と一緒に大量に腸内細菌も排出されます。その数は大便一グラムあたり、実に一兆個近くにもなります。これらの腸内細菌は大腸内の成分によって、繁殖し、また、生育する腸内細菌のバランスも変わるのです。すなわち、大腸は腸内細菌の培養器官でもあるのです。腸内細菌の種類は500種以上にもなり、腸内細菌のバランスが崩れると、便秘や感染症、大腸ガンや大腸ポリープなどさまざまな腸疾患の原因となるのです。また、認知症,肥満やメタボリックシンドロームとも深い関係をもっています。ですから,現在、起きている多くの病気がその関与なしには語れないほど、腸内細菌は重要な存在としてクローズアップされています。

うんちを観察しよう

 その腸内細菌の様子を知る一番の方法は、自分の便を観察することです。ストーンと気持ちよく出すことができたか、どれくらいの量なのか、黄い色をしているのか、臭いはどうかなどをチェックしてみることです。そこから、どのような食事を摺れば理想的なうんちを作るにはどうすればいいのかを考えるのです。今や、食事は考えて食べる時代なのです。毎日タップリで、みごとなうんちと対面できるように努力してくださることを期待し、便所での観察力を向上させ、便所を便器のある場所にすることなく、体からのお便りを受け取る「お便り所」にされますよう、願っております。

<辨野先生に聞く!(第1回) べんは体のバロメーター>

辨野義己先生プロフィール

独立行政法人 理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室長。 農学博士。酪農学園大学獣医学科卒、東京農工大学大学院を経て2004年から現職。35年以上にわたって腸内細菌学・微生物分類学の研究に取り組んでいる。

おもな著書として、「ウンコミュニケーションBOOK」(ぱる出版)、「ヨーグルト生活で「腸キレイ」」(毎日新聞社) 「ビフィズス菌パワーで改善する花粉症」(講談社)、「べんのお便り」(幻冬舎)、「病気にならない生き方で、なる病気」(ブックマン社)などがある。