実体験を絵本に

今回は、「うんち日記」と「うんちっち!のうた」ジャケットのイラストを描いていただいた絵本作家の山田花菜さんにインタビューいたしました。絵本作家になろうと思ったきっかけや絵本に秘める想い等について、2回に分けて、お届けします。

好きなことを仕事に

小さい頃から、絵を描くことや、物語を空想することが好きでした。テレビアニメや漫画も大好きだったので、小学生の頃は少女漫画家を夢見ていました。高校生になると、美大の進学を考え、本格的に受験のために絵を勉強し始めました。しかし、1年浪人しても叶わなかったので、落ち込みましたが、このことにより、自分が本当にやりたいことは何なのかを問い直すきっかけになったと思います。そこで、絵本作家になる夢がわいて来ました。その頃は、漫画より童話や絵本を読み返すことが多かったこともあり、物語を考え、絵を描くことが好きなことに気付いたのです。父母からのクリスマスプレゼントに毎年絵本が添えられていたことも影響していたかもしれません。その後、私は児童文化や絵本創作などを総合的に学べる専門学校に出会い『これだ!』と思い進学しました。そこで出会った恩師や仲間との2年間が、私を絵本の道へと導いてくれたのです。卒業後は、アルバイトをしつつ、仲間とグループ展を毎年開くなどして絵を描き続ける日々でした。イラストや絵本の講座で刺激を受けたりもしました。とにかく続けたことで、少しずつチャンスがおとずれ、今に繋がっているのだと思います。

自分の体験を絵本に

アンのプレゼント

デビュー作は『アンのプレゼント』という作品です。この作品もそうですが、私の絵本の種は、自分が体験したことから生まれています。自分の体験の中で、心に強く残った出来事や感情だからこそ、物語にも出来るのだと思います。 『アンのプレゼント』の場合も、当時小学生だった私が、友達の誕生日会に呼ばれた時のことです。その日、私は、友達に手作りの人形をプレゼントすることにしました。しかし、一生懸命作っていくうちに、人形に愛情がわいてしまい、手放すのがとても寂しくなってしまったのです。結局人形は友達にあげましたが、気になって電話をかけ、様子を聞いてしまったという思い出です。そこから、設定を幼稚園に変えたり、作っている様子を丁寧に描いたり、電話ではなく会いに行ったり、ラストにもアイデアを加えて出来上がりました。  ちなみに、それには後日談があります。私の小学校では、タイムカプセル(埋めてから20年後に開けるもの)を埋めており、ちょうど出版された翌年がその年に当たりました。そのセレモニーで、約15年ぶりに絵本のモデルの友人に再会したのです。私は、絵本のことをいつか友人にも知らせたいと思っていましたので、嬉しくなり話そうとしました。するとその前に、友人が「花菜ちゃんをみると、いつもあの誕生日会を思い出す」と言ってくれたのです。私は、さらに嬉しくなって「実は、そのお話を絵本にしたんだよ」と伝えることが出来ました。もちろん、友人もとても喜んでくれました。彼女は、結婚しお母さんになっていました。その後、絵本を子どもに読んで聞かせてくれたそうです。あの時に感じた嬉しさは、今でも忘れることが出来ません。

山田花菜さんのレポート(2)>

山田 花菜(やまだ かな)さんプロフィール

山田花菜さん

日本児童教育専門学校絵本創作科卒業。子どもの頃から絵を描く事が大好き。小学校3年生の時に埋めたタイムカプセルに入れた作文には、「私の夢は漫画家になること。鳥の様に自由に空を飛ぶこと」とある。子ども、海、カフェ、散歩、映画、読書を好む。1997年から絵本作家仲間「Paper Crown」のグループ展を続け、個展も開催。主な作品に『アンのプレゼント』クリハラヤストと山田花菜(偕成社)『ボリーとポリーのたからさがし』(学研)『へんしん!おさんぽ』(鈴木出版)挿画に『ハーフ』『こまじょちゃんシリーズ』(ともにポプラ社)など。最新作は、挿画を担当した『ガールガールガールズ!』(ポプラ社)。