宇宙のトイレと水資源確保

宇宙のトイレの改良により、おしっこから飲料水が確保できるようになったそうです。また、日本発の浄水器の開発により、宇宙での新たな水資源確保も考えられているようです。

宇宙のトイレ

現在、宇宙で使用されているトイレは、ロシア製のトイレをアメリカが購入しているものです。地球のトイレと一番違うところは重力がないことです。うんちやおしっこをして、下に落ちるということがないので、トイレは掃除機のように吸い込む方式になっています。うんち・おしっこと拭いた紙は別に回収し、今まではタンクに溜め、溜まったら輸送船にタンクごと移して廃棄するという形をとっていましたが、今度からはおしっこは処理して飲み水を作ることができるようになったので、うんちとおしっこも分けて回収しています。ちなみに、宇宙では地球にいる時と同じように便意が起きますが、かなり力を入れないと出ないそうです。また、トイレの穴が非常に小さく作られているので、宇宙飛行士は地上でトイレを使う訓練してから宇宙に行っています。

宇宙船内のトイレ

日本発の宇宙用浄水器

日本発の宇宙用浄水器
日本発の宇宙用浄水器による安全な飲み水を作ることも研究しています。食料は乾燥させると軽くなりますが、水だけは量が変えられません。だから輸送コストが高くなってしまいます。酸素と水素を合成する燃料電池からもかなりの量の水ができますが、この水は純粋な水です。 資源のない宇宙では再利用が必須
人間は純粋な酸素と水素だけで生成した水を長期間飲むと体に悪いため、ミネラルなどを添加しないと飲み水としては使用できません。ミネラル添加も、ただミネラルの錠剤を入れてかき混ぜるのではなく、より自然のミネラル水に近くなるようミネラル成分と水分子とがうまく結合されるフィルターを作っています。
宇宙でも期待大のこの浄水器ですが、途上国や災害時などでの活躍も期待できます。実際、すでにインフラがない時の非常時対策や電気のない所などのために、トランクタイプ、太陽発電タイプ、車のバッテリーで動くタイプなどがあります。

最後に、小口先生からのメッセージ

資源のない宇宙では再利用が必須

宇宙という何にもない空間で人間が生きるために必要なものは、地球でのサイクルを考えると分かると思います。そのなかの何かが欠けてしまったら、たぶん生命は絶えてしまうでしょう。だから、いかに「環境、そして命が大事か」と言いたいのです。 最後に、「この絵の右半分は何でしょう?」と皆に聞きます。実はこれは火星です。私の研究の最終目標は火星を地球みたいにすることです。ところが、もしこのまま地球環境が悪くなっていくと、やがて地球は火星のようになるかも知れません。「私たちが生きている間だけ地球がきれいであればいい」というわけではないですよね。人類は、まだまだずっと続くので後世の人類にも、きれいな地球を残すにはどうしたらいいか考えてみましょう!

<小口先生のレポート(2)

小口 美津夫(おぐち みつお)先生プロフィール

小口美津夫先生

独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA) 研究開発本部 未踏技術研究センター 主任研究員 1971年、科学技術庁航空宇宙技術研究所(現:JAXA)に入所。2006年、宇宙にて安全でおいしい水を作り出す宇宙用水再生装置の研究開発を開始。2008年、生態工学会学術賞受賞。
現在、食品廃棄物、家畜ふん尿などを水資源、エネルギー資源として再利用するプロジェクトを展開中。宇宙出前授業やおもしろ宇宙実験教室等の宇宙教育でも活躍している。