宇宙での生活

小口美津夫先生

今回は、現在国際宇宙ステーションに長期滞在している若田光一さんも所属する独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小口美津夫先生にお話を伺いました。今回より3回に渡り、宇宙空間における排泄物に関する話をお届けします。


小口 美津夫(おぐち みつお)先生プロフィール

小口美津夫先生

独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA) 研究開発本部 未踏技術研究センター 主任研究員 1971年、科学技術庁航空宇宙技術研究所(現:JAXA)に入所。2006年、宇宙にて安全でおいしい水を作り出す宇宙用水再生装置の研究開発を開始。2008年、生態工学会学術賞受賞。
現在、食品廃棄物、家畜ふん尿などを水資源、エネルギー資源として再利用するプロジェクトを展開中。宇宙出前授業やおもしろ宇宙実験教室等の宇宙教育でも活躍している。

宇宙での水事情

宇宙では飲む水はとても高価

人類はいろんな好奇心、探究心、フロンティア精神をもって、宇宙開発を行っています。今も国際宇宙ステーションが地球の周りを回っていて、そこに3人の宇宙飛行士が滞在しています。
我々は、酸素・食べ物・水など、生きるために必要な物質がいろいろあります。今現在、それらを宇宙空間で得ることはできないので、宇宙に行く時は必要なものを全て地球から持って行くので、輸送費がかかります。アメリカのスペースシャトルやロシアの輸送船プログレスなどで持っていきますが、例えば500ccのペットボトルの水は、日本で買えばだいたい150円くらい、それが宇宙では100万円くらいになります。持っていく船の大きさによって少し値段が変わってきますが、コップ一杯(約200cc)でスペースシャトルなら40万円くらい、ロシアの輸送船だと30万円くらいです。地球から水を持っていくのはとてもお金のかかることなのです。

宇宙での廃棄物処理の現状

資源のない宇宙では再利用が必須

人が生活すればうんちやおしっこなどの排泄物、排水、呼気の炭酸ガスなどが必ず出ます。このような生活の中で出たものを「宇宙は広いから捨てちゃおう」というわけにはいきません。人工衛星は90分で地球を一周、つまり秒速8kmの速さで回っています。どんな小さなものでも、秒速8kmのスピードで飛んでいたら、ものすごい破壊力を持つので、宇宙でゴミを捨てるわけにはいきません。現在ゴミをどうしているかというと、ほとんどの場合、宇宙から地球に帰る大気圏突入時にゴミを外に捨て、大気との摩擦熱で燃やすという方法で処理しています。しかし、この方法だと少量だとは言え、ゴミを燃やしているので環境を汚していますよね。
ここでは、廃棄物をもう一度資源として再利用しようということを研究しています。将来宇宙での生活が長くなった時、絶対必要な研究なのです。

地球上での生活は宇宙で可能か?

資源のない宇宙では再利用が必須

まず、地球がどうなっているか、地球の生態系を考えてみましょう。この地球では、私たちは食物や酸素など植物が作ってくれたものを消費しているので消費者です。植物は生産者です。そして、生産者である植物と消費者である人間が作り出した廃棄物を分解する分解者が微生物です。この3者の循環で成り立っています。この仕組みを人工的に作ることができれば、宇宙でも居住することが可能となるだろうという考えのもと、旧ソ連やアメリカなどで密閉された実験室を作り閉鎖実験が行われてきましたが、2年で失敗し終了せざるを得ませんでした。しかし、その結果が出たのは当然のことで、生物学・植物学だけで人工的な地球を作ることは非常に難しいのです。物理・化学・工学など、エンジニアリングの考え方を使ったハイブリッド型でなければ難しいと思っています。


宇宙の研究を行うには、単一の学問からのアプローチに止まらず、学際的に研究することが必要のようですね。

小口先生のレポート(2)>