大腸の病気と子どもの便秘(その1)

今回は、さいたま市立病院の小児外科部長である中野美和子先生に大腸の病気と、子どもの便秘についてお話を伺ってきました。

中野美和子先生

中野美和子先生プロフィール

さいたま市立病院 小児外科部長
先天性の排便障害疾患の治療を永年にわたり続けている。その関連で、さいたま市立病院では3年前より、排便外来を開設し、先天性の疾患、先天性疾患で手術を受けた後の長期フォローだけではなく、一般のこどもの難治性便秘、便通異常、便失禁の治療も行っている。鎖肛の会顧問。

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先天性の大腸の病気

先天性の大腸の病気として代表的なものに、ヒルシュスプルング病と鎖肛というものがあります。ヒルシュスプルング病は出生5000人に一人、鎖肛は出生3000人に一人の頻度で見られ、日本の医療水準では生死にかかわる病気ではありません。しかし、ある程度は治りますが、一生抱えて生きていかなければならない病気。だからこそ、そういう人がいることをみんなに知ってほしいと思います。

ヒルシュスプルング病

先天的に直腸や肛門に神経節がないために、便が直腸に来ても、それを便意として感じることができないため、直腸に便が貯まってしまう病気です。神経節は胎児期(赤ちゃんがお母さんのおなかにいる時期)に上から下へ伸びていき、何らかの原因で神経が肛門まで成長しきらないために起こる病気なのです。たいてい生まれてすぐか、乳幼児期に見つかり、治療としては手術を行います。手術でかなりのレベルまで治すことができますが、わずかの病気が残ることがあり、排便の感覚が少し鈍いため便秘気味になったり、便が少しもれやすくなる人がいます。

鎖肛さこう

普通、肛門は筋肉と神経の連携でちょうどいい具合に締まっていますが、鎖肛というのは肛門がない、あるいは肛門の位置が異常で、その筋肉が先天的に乏しい病気です。しかし医療技術が進んだ現在では一旦ストーマ(人工肛門)を作ったとしても、治療により自分の肛門から便を出せるようになるケースがほとんどです。

どちらも近年増加傾向にあるわけではなく、出生に対して一定の割合で見られますが、昔は診断ができず赤ちゃんのうちに死んでしまう子もいたので、今のほうが増えているように見えるかもしれません。今は発見されれば手術によりほぼ治せる病気です。いずれも外見からはわかりませんが、こういう状態の方々がいることをぜひ理解いただきたいと思います。

排便の仕組み

便は、普通1~3日に一回程度出ます。普通の人の排便は、液状の便が大腸を進む→だんだん固形化→S状結腸で溜まる→大蠕動ぜんどうによって便が直腸に届く→その刺激が脳に伝わる→交感神経と副交感神経が連携し押し出して排便→すっきり!(直腸が空になった合図)という順序です。

次回「大腸の病気と子どもの便秘(その2)」では、子どもの慢性便秘についてをお届けします。

大腸のなかの便の流れ

中野先生のレポート(2)>