運動によって子どもたちを明るい未来へ

現状を維持した場合の子どもたちの将来的な影響

いまの中高年の体力は毎年上がっています。それは、スポーツ参画する大人の増加が要因だと思います。中高年の人たちは、子どもの頃に運動をしているので、運動の心地よさを知っています。だからこそ、運動にそれ程抵抗がありません。しかし、いまの子どもたちは慢性的な運動不足のため、からだを動かすことを億劫に感じています。そのため、その子どもたちが大人になる頃には運動をしなくなってしまうため、あと、20~30年経つと中高年の体力は下がっていくことになるでしょう。
 医療の発展により、延命はするでしょうが、QOL(Quality of Life:生活の質)を保持した寿命は短くなっていくと思います。自分のからだが保持できないとかバランスが取れないといったことが頻繁に起きてくると思います。簡単に説明すると「いまの子どもたちが60歳になったときに、4~5人に1人は杖をつかないと歩けない」というくらい筋力や能力が下がってきています。

  からだの発達の変化

運動と排泄の関係

NHK教育テレビの番組「あさだ!からだ!」(4月から番組名が変更。以前の番組名「からだであそぼ」)は、私が監修をしております。そのため、ご出演いただいたスポーツ選手と会話をすることも多いのですが、スポーツをする上でも排泄行為は大切なバロメーターです。生活リズムをきちんと確立して、定期的に排泄をしていると思います。彼らは我慢をしないなど、良い排泄をしようと心がけています。良い排泄ができなかったら、試合に影響します。排泄はスポーツ選手にとっては非常に大切な行為だと思います。特に、エリートスポーツ選手は食事や睡眠、生活習慣に非常にこだわっていると思います。

読者にメッセージ

日本のいまの子どもの問題発生の原因は、大人にあります。大人がいまの日本の状況をきちんと把握して良い方向に導きたいという意識を持たない限り、何も変わりません。子どもたちを元気に育てるためには、まず大人の認識を変えなくてはならないと思います。

<中村先生のレポート(2)

中村 和彦(なかむら かずひこ)先生プロフィール

中村和彦先生

筑波大学体育センター准研究員、山梨大学教育学部助手を経て、現在、山梨大学教育人間科学部准教授。子どものからだやこころの問題についての研究に従事。子どもの遊びの重要性に関する調査・研究の第一人者。難しい理論を誰にでも分かる平易な表現で伝えてくださるところには定評がある。
他に、文部科学省中央教育審議会スポーツ・青少年分科会スポーツ振興に関する特別委員会委員、文部科学省学習指導要領小学校「体育」の改善に関する調査研究協力者会議委員、(財)日本体育協会ジュニアスポーツ指導員部会部会長、(財)日本放送協会(NHK)番組名「からだであそぼ」「あさだ!からだ」監修者など。専門は運動発達学、発育発達学、健康教育学。著書に『子どものスポーツプログラム』(日本スポーツ少年団、編著)、『総合的な学習の時間と健康教育』(労働教育センター、共著)、『子どものからだが危ない!-今日からできるからだづくり-』(日本標準、単著)。