子どもの生活習慣病

生活習慣病が引き起こすさまざまな問題

近年、生活習慣病になる子どもが増加傾向にあります。これは私の専門ではありませんが、1日の体温の幅が1.5度以上であるという体温調節異常や全く変化がない変動異常という症状があります。その症状が続くと発汗異常になります。汗腺は1歳~3歳までの間に体温調整を行うことによって発達します。その期間に、常に体温調節のできている空間に居た場合、汗腺が十分に発達しないので注意が必要です。
 私は元々、運動の研究をしておりましたが、この十数年間、どの研究を行う上でも、子どもたちの生活習慣を調査しなければならない状況になっています。おそらく、いまの子どもたちが大人になったとき、現代の大人のからだにはなれないと思います。

子どもに効果的な運動の仕方

放課後の遊びの移り変わり

日本は危機的状況のため、海外との比較調査を行い、客観的に現状把握を行いました。昨年は7ヵ国訪問したのですが、各国ともに体力低下の傾向にありました。しかし、日本のように25年間下がり続けているところはありませんでした。
 日本では、子どもの運動不足が問題になると、すぐに「野球やサッカーをやらせよう」という話になります。しかし、そうではなく、他の子どもとコミュニケーションをとりながら、動きと共に身に付けていくおにごっこやかくれんぼといった遊びを行うことが必要です。野球やサッカー、スイミングといった単一のスポーツをやっているだけでは、基本動作の全てを身に付けることはできません。
 アメリカのスポーツクラブでは、季節によってスポーツを入れ替え、いろいろな動きを体得する仕組み作りを進めています。欧米の子どもの運動に対する考え方は、子どもの発達段階に見合っています。欧米に比べると、日本は、少しずれていると感じます。子どもたちが健やかに育つことよりも、「勝つこと」が最重要視されているという現状と認識を変えていかなければならないと思います。

子どもたちが楽しめる仕組み作りの必要性

私は、勝つことを目的としてがんばってやるスポーツではなく、楽しくからだを動かすという運動の仕組みを作りたいと思っています。人間は本来、運動に快の気持ちを持てる動物で、それを引き出すことが大事です。いまの子どもたちはゲーム漬けになっていますが、どこかでゲームにもストレスを感じていると思います。いま大人は、外で遊ぶことは危険だと子どもに伝えていますが、安心して遊ぶことのできる場を提供するのが大人の使命だと思います。フランスのシャンゼリゼ通りの2,3本横道では夕方、歩行者天国にしています。理由は、子どもの遊び場を確保するためです。その話に感心していたところ、最近、築地で土日に道路開放を始めたようです。日本も整備されつつあるということだと思います。

<中村先生のレポート(1) 中村先生のレポート(3)>

中村 和彦(なかむら かずひこ)先生プロフィール

中村和彦先生

筑波大学体育センター准研究員、山梨大学教育学部助手を経て、現在、山梨大学教育人間科学部准教授。子どものからだやこころの問題についての研究に従事。子どもの遊びの重要性に関する調査・研究の第一人者。難しい理論を誰にでも分かる平易な表現で伝えてくださるところには定評がある。
他に、文部科学省中央教育審議会スポーツ・青少年分科会スポーツ振興に関する特別委員会委員、文部科学省学習指導要領小学校「体育」の改善に関する調査研究協力者会議委員、(財)日本体育協会ジュニアスポーツ指導員部会部会長、(財)日本放送協会(NHK)番組名「からだであそぼ」「あさだ!からだ」監修者など。専門は運動発達学、発育発達学、健康教育学。著書に『子どものスポーツプログラム』(日本スポーツ少年団、編著)、『総合的な学習の時間と健康教育』(労働教育センター、共著)、『子どものからだが危ない!-今日からできるからだづくり-』(日本標準、単著)。