ゲームが与える影響と睡眠時間の阻害

家庭用ゲーム機について

私自身はゲームそのものが悪いとは思いませんし、否定もしていませんが、眠れないくらい節操なくやることが問題だと思います。朝と夜で、光と闇のリズムを付けないといけないのに、それを無視してしまうことが問題です。朝の光である朝日は、大気圏の中に斜めに差し込む光です。夕日もそうですが、夕日はほこりで波長が少し乱れますので、朝日だけがセロトニンを刺激します。朝日と夕日の繰り返しがリズムよく起こることにより、交感神経と副交感神経のスイッチがうまくいきます。人間はどっちもきちんと働くことにより快適な体調で生活が送れます。
よく「ゲームは脳に悪い」「タバコやお酒のようにゲームを規制したほうがいい」とおっしゃる人がいらっしゃいますが、私は「ゲームが与える影響というのは個人差がある」と言っています。また、今の三次元ゲームやネットゲームには、現実空間では養えない、脳の空間認識力を高める可能性があります。もちろん、現実空間の外遊びなどが養う空間認識力を犠牲にしてはいけないと思いますが、12歳までにこの世界観を知った脳でなければデザインできない領域も、将来登場するかもしれません。したがって、日本だけ12歳までゲーム禁止にするような政策をとってしまうと、情報技術の最先端である日本が、だんだん遅れをとっていくと思います。我が家の息子は小学校6年くらいから、ネットゲームに参加し、ロシア人やスウェーデン人とも遊んでいました。ロシアの人の癖、なんていうのを語ったりしていましたね。私たち大人にしてみたら、ゲームの世界というのは仮想です。しかし、今の子どもたちにとっては、完全な現実空間です。だからこそ、私はゲームの禁止を考えませんでした。これはこれで未来を支えていく脳に対して与えてあげられるひとつの情報だと思いました。なので、私自身は息子に8歳前にはゲームを与えていました。それでも、夜の闇は確保しないといけないので、夕方くらいまでに終わらせていました。私は、早寝、早起き、朝ごはん、読書、8歳までは外遊びを脳育ての基本として推奨していますが、ゲームは、この5つの行為を阻害してしまうために、良くないといわれているのではないでしょうか。

睡眠時間と脳

脳がよくなるのは、脳の持ち主が寝ている間です。したがって、頭を良くしたかったら、上質の睡眠をとることが大事です。
おとなたちは、「よく眠ることが、最大の英才教育」なんて言われると、きょとんとしてしまうかもしれませんね。昔は夜が暗かったし、電子機器も少なかったので、子どもたちの脳は自然によく眠れていたので、そんなことをわざわざ言わなくて済んだんですね。地球環境もどんどん変わり、子どもたちの脳も20年前とはがらりと変わっています。どんどん変わる中で、親が自分の子どもを、しっかりと見て、感じて欲しいのです。睡眠だって、小学生でも7時間で足りる子もいれば、大人だって10時間必要な方もいます。世の中の言い分をうのみにせず、子どもたちが元気でいきいきしてるか、集中力はどうか、情緒は安定しているかをしっかり見て、「我が家のルール」を作って欲しい。さっきの「朝の排便は勉強より大事」ということも一緒です。この記事を読んだ方は、1週間とか2週間とか1ヶ月とか、御飯をゆっくり食べさせたあと、うんちが出るまでとやかく言わないことをとにかく実践してみてほしい。そうすると、きっと、いろいろな成果が出てくるでしょう。受験時に「この大事な時期に睡眠に時間を費やしても意味ない」と考える人もいると思います。中学受験のために、子どもたちの睡眠時間を阻害するわけです。しかし、一方で、睡眠時間が多い子程、偏差値が高いというデータも出ています。東大現役合格者の、日没後の家庭学習時間は意外に少なく、2時間以内というデータもあります。しかしながら、そのエビデンス(証明)は、完全にすることはできません。人間は、機械じゃないですからね。「睡眠が脳に大事」はわかるけど、成績につながるのは結局勉強だと主張する方に、「成績も睡眠ですよ」と納得させるデータを出すのは難しいのですが、「気になるのなら、実際にやってみては?」とお薦めしています。そうして、自分の子どもの様子を全身全霊で感じて下さい、と。

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黒川 伊保子(くろかわ いほこ)先生プロフィール

黒川伊保子先生

株式会社 感性リサーチ 代表取締役
脳科学の見地から「脳の気分」を読み解く感性アナリスト。感性研究の第一人者。 脳の研究からくりだされる男女脳の可笑しくも哀しいすれ違いを描いた随筆や恋愛論、脳機能から見た子育て指南本、語感の秘密を紐解く著作で人気を博し、日本テレビ「世界一受けたい授業」、NHK教育テレビ「日本語なるほど塾」などに出演。さらに、語感分析法を応用した、名前の恋力を占う携帯コンテンツ「恋音」を運営中など、幅広く活躍中。著書に「しあわせ脳に育てよう」(講談社)、「名前力~名前の語感を科学する~」(イーステージ新書)などがある。
黒川先生のオフィシャルWebサイト
株式会社感性リサーチHP