睡眠と体調管理

神山潤先生

今回は、東京ベイ・浦安市川医療センター センター長の神山(こうやま)潤先生にお話を伺いました。3回に分けて、睡眠と体調管理に関するお話を掲載します。排泄と同じく、睡眠は人間が生きていく上で欠かせない大事な行動ですが、意外に知られていない一面もあるようです。




子どもたちの睡眠の実状

東京の4,5,6歳児の就寝時間と、その変化

子どもが朝寝坊をする頻度が高いことに疑問をもったことが子どもの睡眠について考え始めたきっかけです。2005年のNHKの番組『クローズアップ現代』に「子どもの睡眠が危ない」というテーマで瀬川昌也先生(瀬川小児神経学クリニック院長)が出演され、子どもの夜型化問題について指摘されました。その報道以降、少し改善されたように思いますが、保護者の考え方は、二極化していると思います。睡眠は大切であると理解している人たちといない人たちです。子どもが夜更かししていることを問題にする以前に、大人がいい加減に考えていることが問題だと思います。
 日本では、夜寝ている間に成長ホルモンが出るという情報のみを信じて「子どもは夜寝なければいけない」というロジック(論理)が広がってしまっています。そのため、「大人の眠りはどうでもいい」というふうに捉えられがちですが、眠りは年齢に関係なく大切であることを再認識していただきたいと思います。今の日本では、生産性を上げるためにも、子ども以上に大人の方が良く眠らないといけません。日本人は、世界で一番睡眠時間の少ない国民だといわれています。子どもはもちろんですが、大人の眠りの現状についてもよく考えた方が良いと思います。

「自分の身体の声を聴く」

私は、早起き早寝をやみくもにすべての方におススメするつもりはありません。それぞれの方が慣れ親しんだ生活習慣があると思いますし、慣れのメカニズムは、まだ解明されていない部分もあり、慣れは大事にしなければいけないと思います。ただし、人間という動物は、昼は光を浴びて体を動かし、夜は暗いところで寝る方が体調が良いという調査結果が多くあります。したがって、子どもにはそれに従わせてあげるような環境を作った方がいいと思います。ただし、大人の場合は長年、昼夜逆転しているような仕事をしていて、それでも調子がよい人もいます。医者が言ったから「何時に寝る」「何時に起きる」「何時間寝る」などということではなく、それぞれの体調があるわけですから、自分の身体の声を聴いて、それに従うことが好ましいと思います。

神山先生のレポート(2)>

神山 潤(こうやま じゅん)先生プロフィール

神山潤先生

東京ベイ・浦安市川医療センター センター長
睡眠、特にレム睡眠を脳機能評価手段の一つとして捉える臨床的な試みに長年取り組む。 旭川、ロサンゼルスでは睡眠の基礎的研究にも従事。 米国から帰国後、日本の子どもたちの睡眠事情の実態(遅寝遅起き)に衝撃を受け、社会的啓発活動を開始している。日本睡眠学会理事、子どもの早起きをすすめる会発起人。
神山潤先生のオフィシャルWebサイト